浦レポ by 浦和フットボール通信

得点シーンに見られた大事なフリーラン ホームでの好成績は良いこと【轡田哲朗レッズレビュー/J第12節 横浜FM戦】

(Report by 轡田哲朗)

年間でも厳しいスケジュールの時期に負傷者が多い厳しさ

浦和レッズは5月6日にリーグ戦の第12節で横浜F・マリノスと対戦して2-1で勝利した。4月20日から続く連戦は5試合目で、それをフル出場の連続で乗り切ってきた選手も少なくない。その疲労度に関しては渡邊凌磨の試合後コメントを参照していただくのがとても分かりやすいと思うが、石原広教はこの試合ではさすがに最後まで持たなかった。そのような中を乗り切れたのは、自分たちがある程度ボールを持つ時間を長くできたことと、ホームゲームだったことの2つが大きいだろう。ペア・マティアス・ヘグモ監督は「国際的にトップのチームは1週間に2試合できなければ」と話していたが、16日間で5試合はそのペースよりだいぶきつい。今季は昨季の60試合から見れば3分の2から4分の3程度の試合数になることが見込まれるが、この4月後半から5月いっぱいは年間の中でもかなり厳しい時期だ。そこに負傷者が多いのはちょっとタイミングが悪い。

そのような形でスタメンを人数としては1人、ポジションとしては2つ入れ替えただけのマリノス戦になったが、彼はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を控えていることもあってGKを除く完全ターンオーバーだった。彼らにしてもその重要度や優先順位をかなり上げているようだが、2試合前のセレッソ大阪戦と似たようなメンバー構成であり、ハリー・キューウェル監督は連戦をトータルで見て少し計画的に入れ替えてきた部分があるのだろう。どっちが良い悪い、正解不正解と言えるものではないが、考え方の違いを感じる部分ではあった。

このマリノス戦を前にしたヘグモさんの記者会見で「ダブルボランチにはしないのか」という質問が飛んでいた。サミュエル・グスタフソンを中心に伊藤敦樹と安居海渡あるいは岩尾憲を並べるのと、この試合のように大久保智明や小泉佳穂、中島翔哉、武田英寿といったタイプの選手を1枚使うのでは少し違いがあるように感じるが、ヘグモさんは「インサイドハーフが2枚欲しい」と話していた。ベンチメンバーでは、その武田や堀内陽太が外れて小泉が戻り、佐藤瑶大と井上黎生人を2人とも入れる選択。そして、興梠慎三ではなくブライアン・リンセンという構成になった。結局はレギュレーションに合わせなければいけないものだけど、今季のルヴァン杯で実施して問題なければ来季以降のリーグ戦でも導入されるというベンチ入り枠の拡大が待たれるところだ。

シンプルに良いものが多く詰まっていたゴールシーン

このゲームはマリノスがグスタフソンの番人としていた天野が早い段階で負傷交代してしまって、彼らも少しそこがぼやけた状態で前半が進んだ。それは浦和がボールを安定させることへの助けになったが、これまでの試合でも、だからといってゴールチャンスをたくさん作れていたかというと多少なりとも疑問があった。その理由の1つに、特にアタッキングサードに入った時にパスが出し手と受け手だけの関係、あるいは中島や前田がカットインするようなドリブルを見せた時にシュートコースを作るようなランニングが不足していた面はあったように見える。ただ、この試合のゴールシーンはいずれも、その重要な動きがあったことが攻撃の改善を感じられるものになった。

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