浦レポ by 浦和フットボール通信

これは成功体験か、失敗体験か カップ戦に強い伝統とリーグ戦【轡田哲朗レッズレビュー/J11節横浜FM戦】

(Report by 轡田哲朗)

勝ちが欲しい状況のホームゲームに引き分けた事実はそこにある

浦和レッズは18日にリーグ戦の13試合目で横浜F・マリノスをホームに迎えて、3-3で引き分けた。全チームの消化試合数が揃い、浦和は清水エスパルスを得失点差で上回った15位なのでシンプルに残留争いの位置にいる。だから、この試合は経過を全部あっちに置いてみれば、勝ち点が欲しい状況のホームゲームを引き分けたと言える。3点ビハインドを追いついたことに価値がないとは言わないけれども、試合経過や空気感を順位表は見てくれないので、勝ち点に数字以上の意味を持たせず場所が決まる。リーグ戦にそのようなドライな面があるのは頭に置いておくべきことだ。

特に2011年のリーグ戦で、追いついた引き分けでの盛り上がりを過大に評価して、当時の監督までゴール裏にガッツポーズをしにいってワーワー騒いで、冷静になって気がついたら勝ち点が足りなくて残留争いをしている状況がかなり心に残っているので、こういう劇的な引き分けを「スコアレスドローと同じ勝ち点1」として見るように心掛けている部分もある。

5月8日の柏レイソル戦から6月1日の天皇杯2回戦まで7試合を中2日から4日の連続で消化しなければいけないタイミングで、これが3試合目になった。江坂任をベンチからも外したのは冒険に見えたし、伊藤敦樹をそうしたのも「思い切ったな」とは感じた。ダヴィド・モーベルグもベンチスタートということで、長い時間のチャンスが回ってきたのが小泉佳穂だったとも言えるし、アレックス・シャルクとキャスパー・ユンカーを前に並べてみるやり方だったとも言える。

一方のマリノスもマルコス・ジュニオールや仲川輝人がベンチスタートになっていた。結果的に彼らが試合を決めることはなかったけれども、互いに選手のプレータイムをコントロールしつつ、切り札になり得る選手をベンチに置いたと言えるだろう。

右サイドの崩壊、設計図に無理はなかったか

この試合は早い段階で2失点した形が、いずれも右サイドの機能不全によるものだった。浦和は状況次第で最終ラインを5枚にして勢いを吸収することを許容した入りをしていたが、左サイドは関根貴大が明本考浩の外側に降りていたのに対し、右サイドはゴチャついていた。小泉が馬渡和彰の外に降りるのか、馬渡とアレクサンダー・ショルツの間を埋めるのか、最終ラインがスライドして埋めるのか、あるいは平野佑一が降りて埋めるのか。どれもこれも単体としては間違いではないやり方で、それこそ沖縄トレーニングキャンプにおける守備練習のレポートでも記したことがある。ただ、それを中で統一してやれないと酷いことになるし、1点目も2点目もその部分に問題を抱えた。

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