浦レポ by 浦和フットボール通信

「狙い通り」と「効果的」は少し違うもの 伸びしろは十分の新システム【轡田哲朗レッズレビュー/J36節横浜FM戦】

(Report by 轡田哲朗)

リーグ戦の3位以内は消滅、それは受け止めるべきこと

浦和レッズは20日のリーグ第36節、横浜F・マリノス戦に2-1で勝利した。他会場でヴィッセル神戸が勝利したことで、リーグ戦で3位に入る可能性は残念ながら消滅してしまった。天皇杯次第でゴールポストが4位以内まで動く可能性はあるとしても、基本的にはシーズン前に定められたリーグ戦での目標が未達成になったことも意味する。まず、それは1つ受け止めておいた方が良いだろうなという部分だ。だから今季の取り組みが良くないとか先につながらないという意味ではなく、監督を変えて2回の移籍期間で大きくメンバーを入れ替えてというシーズンを送りながら、いきなり前年度までの成績からジャンプアップしてトップ3に食い込むというのは簡単ではないというのを味わっていると言える。

この試合の浦和は出場機会の多かったメンバーだと酒井宏樹と汰木康也がベンチスタートで、柴戸海とキャスパー・ユンカー、小泉佳穂、明本考浩は完全に欠場。その入れ替えと同時にシステムを4-3-3にして臨んだ。この試合を前に阿部勇樹、槙野智章、宇賀神友弥が今季限りでチームを離れると発表されていたが、阿部は登録メンバーから外れ、槙野と宇賀神はベンチ入りしていた。

一方のマリノスは4-2-3-1の普段通りのシステムだった。全体に噛み合いやすくなるこの人数関係にしたのは、マリノス対策なのか浦和の都合なのかという点を試合後にリカルド・ロドリゲス監督に少し聞いてみると「どっちもある」ということだったので、新システムと言いつつも「対マリノス」の要素も入っている。

システムの数字の話を先にしてしまうと、この浦和のシステムは4-1-4-1でも、4-5-1でも、4-3-3としても、それはどれでも良いと思っている。マリノスにしても、「4-4-2の2トップが縦関係になっている」と捉えても良い。3トップと言って、相手ボールの時にウイングが2列目の守備タスクを免除されるようなクラブは今や見ることもないし、この試合の浦和にしても相手ボールで押し込まれて完全撤退した時の隊列は5-4-1だ。どの並びになっている時間帯が何分間あったのかという観点で、少し意地悪に「このマリノス戦で浦和は5-4-1を採用した」と言う人がいても、それは苦笑いしながら首を縦に振ることになる。システムの数字はその程度のもので、大事なのは役割がどう振られているかだと考えた方が良い。

前後ではなく横に動く1トップの良さが出た2点目

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