「自分たちで」サッカーをすることの大切さ、探っていた答えが1つ見えたプレー【轡田哲朗レッズレビュー/J第5節 福岡戦】
(Report by 轡田哲朗)
中盤までの8人で初めてとも言えるスタメン変更で岩尾を起用
浦和レッズは3月30日のリーグ第5節、アビスパ福岡戦に2-1で勝利した。良い立ち上がりからゴールを決められず、ミスも絡んだ失点を何とか逆転する試合運びに改善の余地があるのは事実だろうけれども、まずはこうやって勝ち点3の試合を繰り返していくことで順位表の上位を定位置にしていくことが重要であり、結果が出ることにより相乗効果を生むこともある。何より、勝利した後のスタジアムの空気感を新加入選手の多い今シーズンの早い段階で体感できたのは大きかったのではないかと思う。
このゲームでは、これまで負傷によりアレクサンダー・ショルツから佐藤瑶大の変更があった以外で初めて中盤までの8人に変更が加えられ、岩尾憲が左のインサイドハーフに入った。また、必ずしも積極的な理由だけではない可能性があるにせよ、大久保智明が60分ほどプレーできたのも今後に向けて明るい材料だろう。そして、コンディションを作り直した感のあるチアゴ・サンタナがスタメンに戻ってゴールできたのもチームにとって大きなことだった。
福岡はJリーグ史上初のイラン国籍の選手であるシャハブ・ザヘディを1トップに据えて、5-2-3のような感じで構えていた。ザヘディは国際サッカー連盟(FIFA)によるウクライナのクラブや選手関連の特例措置での移籍ということで当面は6月30日までの加入ということだが、あまり目が向けられていなかった北欧の選手を浦和が3人、4人と獲得してきたのと同じように、各クラブがこのように今まで主流だったルート以外のところから選手獲得の目を向けるようになればリーグの活性化にもつながるだろうと思うので、彼にゴールされた記憶は苦いものになるかもしれないが、1つ歓迎したいものと言えた。
「これが良いシーンと取り上げられていた」ことの持つ意味
このゲームの福岡の基本的なセットは、1トップのザヘディをサミュエル・グスタフソンに戻して、ダブルボランチが伊藤敦樹と岩尾を捕まえるやり方だった。これはJリーグにかなり多い3-4-2-1型のチームと対戦した時によく見られる光景で、昨季で言えば相手の1トップが岩尾の番人をするようなパターンはよく見られただろう。ペア・マティアス・ヘグモ監督が就任した今季はダブルボランチの役割分担ではなく、シンプルにグスタフソンという明確なアンカーを配置しているのでその構図も分かりやすい。
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