浦レポ by 浦和フットボール通信

整理された守備が試合のベースに、勝ち点3が与える落ち着きに期待【轡田哲朗レッズレビュー/J第3節 札幌戦】

(Report by 轡田哲朗)

スタメンと交代の選択は納得できるもの

浦和レッズは3月10日のリーグ第3節で北海道コンサドーレ札幌に1-0で勝利した。酒井宏樹が「うれしいですね。それと同時に、本当にほっとしている」という言葉を残していたが、それは浦和に関わる多くの人にとって同じような感想があるのではないか。ゴールが決まった瞬間、あるいは試合終了のホイッスルが鳴った瞬間のペア・マティアス・ヘグモ監督の喜びようを見ても、それは感じられた。今季に向けての補強が注目を集めるに値するものだったし、ここ5年から6年の間で見てもこれだけシーズン開幕前から「優勝候補」として扱われるのは初めてだったかもしれない。それは良いことだと思うけれども、それだけに2月23日の開幕戦でサンフレッチェ広島に敗れたところからの20日間ほどが本当に長く感じられた部分はあったのだろう。

この試合はウイングを前田直輝と関根貴大の組み合わせでスタートして、最前線は興梠慎三にしていた。ヘグモ監督は興梠について「1トップをこなすことができ、攻撃でも守備でも戦術的に強みを持つ選手なので、その点に期待していた」と話したが、少しメリハリのある前後への動きと、後述する相手ボールの時の役割で見ると適性が高かった部分もあるのかもしれない。前田が体調不良から戻ってきて間もないことに起因する部分で、後半の立ち上がりに交代を余儀なくされたタイミングで興梠も同時にチアゴ・サンタナと入れ替えたが、それは前半途中でアレクサンダー・ショルツの負傷交代で交代回数を1回使ってしまっていたことも要素にあるだろう。それらを含めた交代策、逃げ切りの最後の一手に関しても、その時に取れる選択肢の中でベストのものだったように見えた。

札幌は4-1-5型のポゼッションから守る時は基本的にマークを決める。その意味では広島戦と似た要素が多分にあり、彼らは前線を少しひねるだけで浦和の選手が目の前にいる状態になる。浦和の3トップと札幌の3バックが同数で対峙する状態を許容していたので、ここで誰かが突破できればビッグチャンスになるのは戦前から想定された構図だった。

マンツーマンとの戦いで「勝てるマッチアップ」を見つけるのは大事なこと

その構図が典型的に表れた場面の1つが前半11分かなと思っていて、この時は渡邊凌磨が浅野からオーバーラップした駒井へのパスをカットしたところでボール保持が入れ替わった。とはいえ、小泉佳穂は渡邊とマリウス・ホイブラーテンの間を埋める役割に戻っているので、人数バランスとしては札幌としても許容範囲だろうし、むしろ浦和がうまいこと3トップを前残りさせることができたことがこのチャンスにつながった。

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