浦レポ by 浦和フットボール通信

相手の負けパターンに持ち込んだゲーム それでも最後はゴール前【轡田哲朗レッズレビュー/J第27節札幌戦】

(Report by 轡田哲朗)

マイボールで相手に合わせるか、相手ボールで相手に合わせるか

浦和レッズは12日にリーグ戦の32試合目、北海道コンサドーレ札幌とのホームゲームに1-1で引き分けた。90分を通せば浦和は十分に勝ち点3を得るチャンスのあった試合で、それを生かせなかったと言える。札幌を率いるミハイロ・ペトロヴィッチ監督は2012年から17年途中まで浦和を率いていて、当時とはシステムや守備の手法に違いはあるものの、根底にあるのは攻撃的にピッチ上の問題を解決して自分たちで制圧しにかかるという点で変わらない。それに対して浦和は少なからずうまく試合を運んだ部分があったと思っている。なぜなら、私たちは「ミシャの浦和」が負ける時はどんな試合が多かったのかをよく知っているからだ。

このゲームでは8日のサガン鳥栖戦と同じスタメンで、ベンチメンバーは江坂任からダヴィド・モーベルグに代わったのみだった。リカルド・ロドリゲス監督は勝った試合の次にメンバーを変えることが少ない。それはサッカー界にあるセオリーの1つだし、彼は感情のない駒を画面上で操るゲームのプレーヤーではないので、チーム内で選手のモチベーション維持やマネージメントで必要なことや大事にすることもあるだろう。その上でなお、リカさんのチームは「相手が違うのに、なんで前の試合と同じことをやってんだよ」という批判が成り立つタイプのチームであり、勝利への手段をそこに置くチームであることを忘れてはいけない。それらを鑑みても鳥栖と札幌には共通項、ゲームの中で発生しそうな状況に似た部分があると予想できたのでスタメン継続は理解できた。

札幌はマイボール時に荒野がアンカーの位置に定位する4-3-3(4-1-5)に変化することが多く、相手ボール時には自分の担当マークを決めつつも、その相手を見失っている時など「困ったらどこに戻るか」を図示すると4-4-2だと言っていいだろう。ミシャさんは試合後の会見で「浦和の攻撃が4-4-2のような感じだったので、こっちがそんな感じになった」というニュアンスのことを話していた。リカさんとの違いを、相手に応じて変化する部分をマイボールに求めるか、相手ボールに求めるかという言い方もできる。

好みの問題は別にして「勝つ可能性を高めるやり方」はしている

浦和ボールを見てみると、浦和の配置に対して基本的には問題なく担当者が決まってく中で、小泉佳穂の周囲はフワフワしがちになる。彼はタッチラインを踏んでプレーを始めるタイプではないので、中央方向に寄ってくることになる。その時に相手の右サイドバックで「小泉担当」の田中は付いていくのか、少し離して見るのかの選択が迫られる。なぜなら、小泉に付いていって際限なくポジションを動くと、かなり広いエリアでキャスパー・ユンカーと岡村が1対1の勝負をできるからだ。この辺は小泉と話した時に本人も同じように見えていたようで、そこから先に彼が何を考えたかはコメント記事を読んでいただくのが良いと思う。

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