戦術コラムー浦研プラス版:アル・ヒラル徹底詳細スカウティング

第1戦を踏まえて、アル・ヒラルの全貌を紐解く!

 AFCアジア・チャンピオンズリーグも決勝第2戦を残すのみ。普段西アジア・中東のクラブと対戦することの少ない浦和レッズは、昨季のサウジ・プレミアリーグチャンピオンで、西アジアブロックから決勝へ進出したアル・ヒラルと敵地サウジアラビア・リヤドで第1戦を戦った。そこで初めて明らかになったアル・ヒラルの戦術、戦略、戦力は第2戦に向けて貴重な情報になる。そこで今回、浦研プラスでは第1戦の戦いを踏まえた上で、アル・ヒラルの全容を徹底分析し、詳細なスカウティングを行いたいと思う。

【アル・ヒラル/システム:4-1-2-3】

 基本は4バックだが、攻撃時に両サイドバックが高く張り出し、最後尾にはセンターバックのふたりが残る。その際、アンカーのアブドゥラー・オタイフ、右インサイドハーフのニコラス・ミレシ、左インサイドハーフのサルマン・アルファラジが頻繁にバックラインまで下がってビルドアップに参加。また両翼のカルロス・エドゥアルド(彼が負傷交代してからはナワフ・アルアビド)、サレム・アルダウサリは中央へポジションシフトし、ときに逆サイドまで入り込んでいく。

 戦術骨子はポゼッション重視。前述の通りウイングのふたりが積極的に中央エリアへ入り込むが、それは右サイドバックのモハンメド・アルブライク、左サイドバックのヤシル・アルシャハラニのオーバーラップを促進させる意図もあるため、単純な中央偏重でもない。 

 また浦和戦に際しては、浦和の4バックのスライドディフェンスが拙い点をスカウティングしたのか、オーバーラップする両サイドバックめがけて中盤のオタイフ、アルファラジらが正確なフィードパスを供給するシーンが目立った。

 1トップのオマル・ハルビンは相手ペナルティエリア内に留まってプレーする純正のフィニッシャー。ただし両翼のアルダウサリ、アルアビドも積極的にシュートを放ってゴールを狙う。

 また、後半途中にアンカーのオタイフに代えてFWのムフタール・ファラタが投入されてからは4-1-3-2の2トップに移行した。指揮を執るラモン・ディアス監督は確固たるチームコンセプトを有し、各選手にはフレキシブルなポジションチェンジを奨励しながら、その動き出しやエリアカバー、各ポジショニングは秩序的で、チーム戦術は成熟している。

【アル・ヒラル:各選手寸評】

GK 1 アブドゥラー・アルムアイフ(サウジアラビア代表)

右利き・30歳。ロシア・ワールドカップ・アジア最終予選ではホームの日本代表戦他1試合に出場している。落ち着いた挙動で、安定したゴールキーピング。ただしラファエル・シルバに得点を許したシーンでは彼のクロスに反応して飛び出したもののボールに触れず、味方DFのクリアをラファエルに拾われて失点している。味方DFとの連係に弱点があるかもしれない。

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