【無料記事】2016 J1ファーストステージ第9節・名古屋グランパス戦前日会見[ミハイロ・ペトロヴィッチ監督]

○ミハイロ・ペトロヴィッチ監督
改まって何か特別に言うことはない。Jリーグというのは毎節、毎節が厳しい戦いであり、明日のゲームも同じように非常に厳しいゲームになる。名古屋はしっかりと組織と個人の能力を揃えた強いチームだと見ている。前線には非常にスピードのある選手がいるし、高さのある選手も揃えている。我々にとって明日のゲームは決して簡単なゲームにはならない。

選手たちは非常に高いモチベーションで明日の試合に臨んでくれると思っている。今週のトレーニングを見ても、選手全員が良いトレーニングを積んでくれている。ただ、我々がここ最近の良い流れのなかで、自分たちがやるべきことをやらなくなってしまったらいけない。走る、戦う、そして規律を守る。そういった我々が常に求めているチームとしてのハードワークなくして、明日のゲームは良い結果に終わらないだろう。

今、我々が迎えている状況はサッカーの世界のなかでは危険な状況と見ている。チームの流れが良く、結果が良いことは素晴らしい状況だが、反対に危険な状況でもある。ここ最近、選手たちは良い内容のゲーム、そして良い結果を出している。その彼らのパフォーマンスを称賛に値するものであると思う。ただ、彼らは称賛されることによって浮かれてしまってはいけない。もちろん彼らは今、素晴らしいゲームをして素晴らしい結果を残しているが、それを称賛されることによって鼻が高くなってしまったら間違いだ。サッカーという競技は過去の結果で生きていけるスポーツではない。常に目の前の試合で結果を出すことによって生き残っているスポーツだ。だからこそ我々は明日のゲームで襟を正し、緊張感を持って、本気で相手を倒しにいく強い気持ちを持って臨まなければいけない。選手たちには今週そういったことを働きかけたし、選手もそう捉えてくれていると思っている。明日のゲーム、選手たちは必ず強い気持ちを持って臨んでくれるだろう。

選手たちはこれまでやってきたこと、一人一人が役割をチームでしっかりとこなしながら戦うこと。それができれば我々にとって前向きな結果になるだろう。一人一人が勝手なことを始めてしまえば、決して良い結果には終わらない。

Qオフに数人の選手が熊本に行って支援活動をしたが、快く彼らを送り出したのはどういう気持ちから?

私自身は選手自らが熊本に行って被災地の人のために何かをしたいと思って行動してくれたことを非常に誇りに思っている。もちろん全国の人たちが熊本のために、という思いで動いていると思うが、私の選手がそういった自分の仕事の活動のなかの貴重なオフを利用して、そういった行動を取ってくれたことを誇りに思う。それと同時に、私が仕事をさせていただいて、住ませてもらっている日本という国、そしてその人たちを私は非常に尊敬している。私は東日本大震災も見てきたし、今の熊本も見ている。そういった災害の時にまずは災害に遭われた方たちが非常に我慢をしながら乗り越えていっている。その落ち着きとがんばりは本当に素晴らしい。もうひとつはそれをサポートする人々が非常に献身的に、長期に渡って助けていく。そういった日本の国民性を見て、そして学んでいる。私もヨーロッパにいる友人に話すことがある。「日本はこういった災害の時でも人々が落ち着き、それをサポートする体制ができている。そういったものは我々も学ばなければいけないことだ」と。日本人を本当に尊敬している。

(東日本大震災)当時の福島の原発の問題が出た時は、ヨーロッパでは少し過剰な報道をされていたのも確かだ。もちろん日本も表に出てこない状況もあるだろうが、ヨーロッパにいた私の家族、友人たちはみんな「早く帰ってこい」と言っていた。私は当時、広島にいたので距離はあったが、そういった連絡を受けて「どうしようかな」と一瞬思ったことは確かだ。ただ、我々の選手たち、あるいは日本のみなさんはそういうなかでも残って、そういった環境のなかで生活している。そのことを考えれば、自分だけ離れるという選択はなかったし、そういうこともその後は全く思わなかった。この間の選手たちの行動に関しては、浦和レッズという名前を背負ってそういう活動をしてくれた選手たちを誇りに思っている。

Qこれから連戦が続き、ゴールデンウィークが終わってもACLの大事な試合があり、ファーストステージの最後の方にもたくさん連戦がある。そのなかでメンバーを代えながら戦っていくという考えはあるのか

良い質問だが、まずは名古屋戦が終わってみないと次の試合の話はできない。名古屋戦が終わった時点でまたその話をしよう。もしかしたら名古屋戦の次のACLの試合では普段とは違うものが見られるかもしれないが、それはまだ分からない。浦項の前にみなさんがどう思うかはまた話をしましょう。みなさんの考えを聞かせてもらってもおもしろいだろう。浦項戦は若い選手を使ってほしいですか? 伊藤、駒井、トシ。普段、先発の機会がない選手を見たいですか? そうでもない? まずは勝ってほしいと思うのはそうだろうが、そのチームでOKなのかそうではないのか、みなさんはどう思いますか? 総替えして普段出ていない選手で勝てると思いますか? そういう質問をするということはターンオーバーしろということを言いたいのでしょうか?

Q監督は以前、ACLのグループリーグを1位通過したいと言っていたが?

今もそう思っている。ただ、俗にいうベストチームで臨んだ方が確実に勝てるのか、あるいはそうでないのかというところも試合前に答えを見出すことは簡単ではない。(主力を)少し休ませた上でモチベーションが高い選手を起用した方がうまく行くことももちろんあるだろう。ターンオーバーのためのターンオーバーは意味がないということは以前にもお伝えした。若い選手を起用することもひとつの選択肢だが、大事なのはどういう選手を起用してどういう組み合わせにするのか、この選手の組み合わせだったらこの試合に勝てるだろうという感覚を監督として得られるかどうかだ。良い組み合わせ、このチームだったら行けるだろうという感じを私もみなさんも持つことが大事だ。ここ最近の練習を見ていると、出場機会が少ない選手も良いパフォーマンスを見せてくれている。チーム内で良い競争が行われていると思っている。

代えの効かないポジションはもちろんあるが、多くのポジションで代えが効くようになってきたのは確かだ。ただ、どこがということは私は言わないが(笑)。何人かは代えが効かないだろう。ただ、前とサイドは比較的代えが効くだろう。もちろん代わっても自分たちが求めるサッカーができるだけのレベルにあるのではないかと思う。

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