【無料記事】2016 J1ファーストステージ第5節・甲府戦前日会見[ミハイロ・ペトロヴィッチ監督]

甲府戦前日会見・ミハイロ・ペトロヴィッチ監督

「まず、甲府戦前のコメントをする前に、我々とともに日々仕事をしているマッチデープログラムの清尾淳さんが今日、59歳の誕生日を迎えました(拍手)。我々は同世代なのですが、これからもご健康とご健勝のほどを申し上げたいと思います。まだ、我々は60歳の手前ですので。

 

(清尾さん)僕の元気は、レッズの成績に懸かっていますから(笑)

 

「それは清尾さんだけではないでしょう(笑)。我々は同世代であり、私ももちろんレッズの成績が健康に関わっていますから。清尾さんは常に我々と共に仕事をし、レッズを後押ししてくれる存在だと思っていますから、我々も結果を持って、そのサポートに応えたいと思います。

さて、甲府というチームは非常に難しい相手です。昨年、あるいは一昨年のホームでのゲームを振り返ってみても、我々は11というドローの結果に終わっている。そういった下位とのゲームでの取りこぼしはタイトルに手が届かなかった理由のひとつとして考えられる。それくらい甲府とのドローゲームは痛かった。明日の対戦もこれまでと同じように非常に難しいゲームになると思っている。甲府というチームは我々だけでなく、他のチームにとってもやり難い相手なのではないか。それは特にアウェーでのゲーム、甲府にとってのアウェー戦が、彼らが得意とするところだからではないか。今シーズンの彼らはアウェーのリーグ戦で神戸に勝利し、鳥栖に引き分け、ナビスコカップでも鹿島に勝利している。アウェーでの守備的な戦い方は彼らの得意とするところだ。逆にホームで、自分たちがボールを持って仕掛けなければならない展開になった時には2試合ともリーグ戦で負けている。明日のゲームは皆さんも十分どういう展開になるか想像できるでしょう。甲府は極端なほどに自陣でブロックを築くでしょうし、しっかり守りを固める中で、こちらはリスクを背負って攻撃を仕掛けなければならない。皆さんが思っている以上に我々にとって厳しいゲームになる。トレーニングでは相手に対してどういった狙いを持ってやらなければならないかを話していて、我慢と判断のスピード、オフのボールがないところでの動きの連動性、そしてファンタジスタではないですけども、アイディアを持ったプレーが必要になると思います」

 

——普段のリーグ戦では浦和のほうが厳しいスケジュールで相手よりも過密日程で臨むことが多いのですが、今回の浦和はしばらく試合が空く中で、甲府はナビスコカップを戦っています。その影響をどのように考えておりますでしょうか。

 

「我々は連戦ではないが、甲府も厳密には連戦ではない。前週にナビスコカップを戦っていますが、ナビスコカップの後にほぼ一週空いてから我々と対戦ということで、日程的にはどちらが優位ということはない。我々も空いた週にFC東京との練習試合をしていますし、その意味では日程的なアドバンテージがどちらにあるということはないと思います。連戦を戦う上で、どのチームも同じ条件かというと、それは違う。我々は常に勝利を求められるチームで、自分たちがボールを持って仕掛けていくような展開を強いられるチームである。そういうチームが連戦を戦うのと、甲府のように守備的に自陣でブロックを敷いて相手の攻撃を跳ね返し、どこかでチャンスをうかがって得点し、勝利を狙い、あるいは引き分けを狙う戦いのチームと、我々のチームとの連戦の意味合いは違う。

0−0でOKであるというならば、我々には何の問題もない。リーグの半分くらいとの対戦で00で良いのならばいい。皆さんは私が言っている意味をあまり分からないかもしれない。我々がボールを持って全く仕掛けない、相手が来たらGKに下げてボールを保持する。それでも相手はおそらく前には出てこないだろう。おそらく相手も10人が自陣に引くだろうが、我々はやろうと思えばそのような展開に持ち込める。90分間それで過ぎるような戦いをできる。ただ、やはり00の戦いをしたら次の日に叩かれるのは我々であろう。その結果と内容で甲府が批判されることはない。そういうチームはリーグの半分くらいはあるのではないか。広島も我々が仕掛けなければおそらく出てこないだろう。もし我々のホームで広島と戦って00で終われば、おそらく批判をされるのは浦和の側で、広島ではないだろう。我々が全く仕掛けなくても彼らは出てこない。自陣から出て前からボールを奪うことはしない。それでも我々は相手が低い位置で人数を掛けてブロックする中で、後ろで3人で攻撃を組み立て、7人の選手が攻撃的に戦うチームだ。それはもちろんリスクを伴うが、リスクを掛けなければ相手の守備を崩すことはできない。そういうやり方、相手の戦い方に対しても意図的に決定機を作れるのは我々、浦和だけである。ただ、それをやるにはリスクを伴う。我々がリスクを冒さず00で終えるのを誰が観たいのか。甲府のクリスティアーノはJリーグの中でもトップレベルの攻撃的選手に数えられるだろう。彼はどのチームに行ってもスタメンを張って得点できる選手だ。相手の9番、ブラジル人のニウソン選手も非常に質の高い選手。新しく入った元オーストラリア代表の選手も非常に質の高い選手。我々には選手のクオリティがないから守備的な戦いをするというのは相手側の言い訳だろうと思う。試合後に監督としてそういう戦い方をして、「すみません」というのは本質ではないだろう。もちろん私は同僚である全ての監督をリスペクトしていますし、それぞれの監督がそれぞれの考えを基に戦うことを尊重します。もしかしたらいつか、我々も全く仕掛けない戦いをするかもしれない。そうなった時に皆さんはどう思うか。浦和はサッカーをしなければならない。そういった戦いの中で、我々が常に勝利するのは簡単なことではない。ただ、我々は明日、全員で全力を尽くし、7人の攻撃的な選手を擁して相手の壁を打ち破る。そういったリスクを負ってチャレンジするチームを、皆さんはもっと評価しなければいけないのではないか」

 

——難しい問題だと思いますが、明日金曜日のゲームは、次の試合への間隔を空ける意味では有用ですが、レッズのようにたくさんのお客さんにゲームを観てもらうことで支えられているチームは。週末に試合を組めないことは問題でもあると思います。去年は(過密日程の中でも)週末に試合を取り入れていましたが、その点について監督はどうお考えでしょうか。

 

「何かを得ようとすれば、両方得られれば良いけども、目をつぶらなければいけない部分もある。ただ、今シーズン、金曜日開催に関しては、もし週末に試合を開催したとしても、甲府戦は若干他の人気クラブと戦うよりは観客が少ないのではないかと思う。そう考えれば、金曜日に甲府戦を持ってきたのは与えられた条件の中では悪い方ではないのではないか。それは我々が火曜日の戦いを良い状態で迎えられるように、クラブが与えてくれた動きだと思う。大きな損失になるとすれば、金曜日にガンバ、鹿島、マリノスらの人気カードが組まれれば、クラブとしても観客数の面ではマイナスが大きいと思いますが、甲府であれば失うものも最小限で済む。連戦を戦う上で、中2日なのか中3日なのかは非常に大きい部分がある。今回我々は金曜日にリーグ戦を戦うことで、火曜日の試合までに中3日ある。それを考えれば、我々にとってベターであると思う。明日のゲームはそういう意味でも、何が何でも勝利することが必要。それによって火曜日の広州恒大とのゲームにより期待感を持ち、甲府戦が週末開催であればもう少し観客動員が見込めたところを、火曜日に来てもらう。そのために明日のゲームは勝利で終わりたいと思う。明日の甲府との対戦は火曜日への良い宣伝として、何よりそういったゲームをしたい。金曜日夜開催の試合は普通に仕事をしている方にとっては際どい時間帯のゲームでしょう。もしかしたら早く仕事を切り上げて来られる方もいるかもしれない。そういう状況の中でも我々の試合に来て後押ししてくれる方のためにも、良い試合、良い結果を観せなければならない。浦和サポーターの愛というのは、そういったところからも感じられます」

 

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