【初回のみ無料記事】細貝萌ー緑の風by浦研プラス

この度、トルコ・ブルサスポル所属の細貝萌選手が運営する『Hosogai Hajime.net』(http://hajime-hosogai.net/)ホームページにて、島崎英純がコラム執筆をさせて頂くことになりました。このコラムでは、客観的な取材の下、島崎自身の視点から、現在の細貝萌選手について忌憚のない批評、意見を述べさせて頂く内容となっております。細貝選手ご自身からは、「「不自然に寄り添わず、細貝萌というサッカー選手に対して、一サッカーライターから観た、あくまでも客観的な批評をお願いしたい」と言って頂きました。浦和レッズ時代から、細貝選手は常に自らを律し、時には外部の助言を真摯に受けて成長を果たす気概のある人物でもありました。島崎は日常的に浦和レッズを中心に取材活動を行っており、細貝選手がプレーするトルコ・シュペル・リガのゲームを実際に観戦する機会はそれほどありません。それでも、彼の言葉を聞き、映像でも彼のプレーを確認した上で、彼の今を文章に落とし込むことはできるのではないかと考えました。

そこで浦研では、『Hosogai Hajime ofiical』の細貝萌コラムとリンクする形で、『細貝萌ー緑の風』by浦研プラス』というコーナーを設けることとしました。ここでは『Hosogai Hajime.net』の細貝萌コラムに付随したサイドストーリーや細貝自身の言葉、そして島崎自身の思いなどを綴っていきたいと思います。皆様、是非ご一読ください。

 

『Hosogai Hajime.net』(http://hajime-hosogai.net/)−細貝萌選手(ブルサスポル/トルコ)自らが更新するDiary、Instagramなどが満載のオフィシャルホームページ。細貝選手の過去の出場記録などのデータベースも充実。細貝選手のファン、サポーターの方には必見の内容です。

 

『細貝萌ー緑の風』by浦研プラス』第1回 ブルサの街

 

 

細貝萌選手が在籍するブルサスポルを取材するために、トルコのブルサという街を訪れました。トルコというと、皆さんはどんな印象を抱きますか? 親日な人々? 壮大なモスク? 世界3大料理に数えられるトルコ料理? 最近何かとニュースになっているテロの問題など? 日本人から見たトルコという国は近いようで遠い存在ですよね。実は僕も、今回細貝選手がトルコでプレーしているということで初めてトルコに降り立った口でして、トルコに関する事前知識はまったくない状況でした、はい。

僕の勝手な先入観では、トルコは中東の国々に隣接しているので、1年中暑くて、大半の国土が砂漠で、大半の国民の方々がイスラム教を信仰しているので、街中でお酒なんて飲めないんだろうなぁと思っていました。でも、トルコの玄関口であるイスタンブールの空港はモダンで広大。空港の外に出ると瀟洒なビジネスビルが建ち並び、近代的な地下鉄が通っていて、車内では女子大生らしき3人組が携帯電話を片手に楽しそうに語り合う、いたって平和な光景がありました。そして細貝選手が住むブルサはイスタンブールからマルマラ海をフェリーで約1時間半掛けて渡ったところにある、緑溢れる古都。もちろんイスラム教を信仰する国らしく、朝の4時くらいに街中に張り巡らされたスピーカーからコーラン(イスラム教の経典)が流れ出しますし、街の中心部には荘厳なモスクがそびえ立っています。女性の中にはヒジャーブと呼ばれるベールを頭にまとっている方もいらっしゃいますし、道沿いのカフェではビールではなく、トルコ紅茶を嗜む人々で溢れ返り、ちょっとだけ日本とは異なる文化を感じたりもします。

一方で、トルコは他の中東諸国とは異なり政教分離が成されていて、イスラム教の戒律がそれほど厳格ではありません。商店の中にはビールやウイスキー、ワインを販売しているお店もありますし、街中の特定の一角にはお酒を嗜む居酒屋が軒を連ねるストリートもあります。郊外のショッピングセンターは大きくて、まるでイオンのショッピングモールみたい。市民は家族連れでそこに訪れ、買い物や映画鑑賞を楽しみ、カフェやレストランで和気あいあいと食事をしています。そこは日本とまったく変わらない風景なのです。

確かに昨今の世界情勢は混迷の度合いを深めていて、特に現在はISIS(イスラミックステート)などのテロ行為が頻繁に起こり、世界の各都市が危険な状況に晒されています。僕がトルコへ渡航していた最中には首都のアンカラで自爆テロが起き、多数の死傷者が出たというニュースが配信されていました。しかし、紛争が起こっているトルコとシリアの国境とは反対側のエリアに位置するブルサでは、そのような危機的な雰囲気は一切感じませんでした。もちろん日々この街で生活をしている細貝選手は気持ちを律しながら危機管理をしているでしょうし、有事の際にはいくつかの決断をしなければならないかもしれません。しかし僕が細貝選手の住むブルサに立ち、この肌で感じた感覚はヒリヒリとした緊張感とは無縁で、穏やかで温かい風が吹く緑の空気に包まれていました。

(次回へ続く)

Text by Hidezumi SHIMAZAKI

 

 

 

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