[無料記事]永田充、手応えと覚悟【2016浦和レッズ・大原レポート】

信頼を取り戻すために

今季の始動から、永田充は確かな手応えを得ていた。キャンプで実施されたトレーニングマッチでレギュラー組のリベロに抜擢された際にはミハイロ・ペトロヴィッチ監督からの期待を感じた。ただ、ここ数年の自らのパフォーマンスから、指揮官やチームメイト、そして何よりサポーターの信頼を取り戻すには相当の努力が必要であることも覚悟していた。

今季の永田は今のところ、アジア・チャンピオンズリーグでの出場機会が増えている。グループリーグ第1節のシドニーFC戦ではリベロでフル出場。続くJリーグ1stステージ第1節の柏レイソル戦は出場が叶わなかったが、ACLグループリーグ第2節の浦項スティーラーズ戦では41システムのセンターバックで槙野智章とコンビを組み、シドニーFC戦と同じく先発フル出場を果たした。しかし、この浦項戦でイエローカードを掲示された永田はシドニーFC戦での警告と合わせて累積となり、次節の広州恒大とのアウェー戦は欠場となる。そこで今節のJリーグ1stステージ第3節・アビスパ福岡戦では、彼の先発起用が予測されている。

「まだ、福岡戦で自分が出場するのかは分からないですけども、僕は次のACLが出場停止なので、その点では出場の可能性がある。前節の磐田戦はチーム全体が元気がなかったように感じました。ACLJリーグの連戦の中でターンオーバーしているのに、磐田戦に出場したメンバーはベンチから観ていて疲れている印象があったんですよね。ただ僕も01の状況で途中出場して、戦況を変えられなかった。後半は盛り返しましたけども、(柏木)陽介のゴールで追いついてからすぐにジェイのゴールで突き放されてしまいましたから、内容面では反省しなきゃいけない部分が多い」

チームはシーズン開幕から公式戦4戦で2勝2敗の五分の成績に留まっている。永田の言葉通り、ペトロヴィッチ監督は試合毎に選手陣容を代えながら過密日程を乗り切る姿勢を示しているが、チーム状態が安定せず、試合毎、時間帯毎の好不調の波が激しい。

しかし永田自身は、現在の自らのコンディションに確かな自信を示している。

「リベロで起用されれば、良いプレーをしたい思いは強いです。遠藤(航)も磐田戦で途中からリベロでプレーして良いキックを蹴っていたので、チーム内競争が激しくなるのは覚悟しています。でも、それでも今季はコンディションも良いし、チームに貢献したい思いが強いです。自分の感覚では過去数年の中で最も体調は良いし、プレー感覚にも手応えを感じている」

永田のストロングポイントはキック能力の高さだが、本人はディフェンダーとしての基礎条件についても強みを発揮したい意識が強い。

「元々僕は海外の選手のほうがガツンとボディコンタクトできるのでプレーしやすい。だから今季、ACLで主に起用されている点はやり甲斐があると思っています。でも、もちろんリーグ戦は重要ですし、その試合でしっかり結果を残したい。次の相手は福岡ですが、相手にはウエリントンというフィジカルに優れたFWがいる。でも、僕はウエリントンのようなタイプのFWを抑える自信がある。彼は厳しいボディコンタクトをしても倒れずに踏ん張れる力強さがありますよね。でも、だからこそ強く当たっても無闇に倒れないと思うので、無駄なファウルを取られないとも思う。その点でも、僕はウエリントンとのマッチアップには自信があります。むしろ、金森健志のようなスピードのあるFWの方が厄介です。ウエリントンだけに気を取られることなく、しっかりとチーム全体で守り切りたいですね」

かつてないほどの眼光の鋭さと確かな自信。2016シーズンの永田充は新たなる境地に達し、浦和の選手として貢献を果たす覚悟を決めている。

 

Text by 島崎英純

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