浦レポ by 浦和フットボール通信

相手のミスは意外と得にならなかったか リーグ戦を勝つ難しさ【轡田哲朗レッズレビュー/J第26節 新潟戦】

(Report by 轡田哲朗)

ビッグスワンの冬芝がかなり厳しそうに見えた

浦和レッズは9月2日にリーグ戦の26試合目でアルビレックス新潟と対戦して1-1で引き分けた。前半にPKで先制に成功したものの、残り10分のところで追いつかれてしまった。そして、勝ち点1で終わったうえに大久保智明を負傷により当面のところは失うことになりそうで、そちらのダメージも大きいゲームになってしまった。

スタートはトップ下に小泉佳穂が入るパターンだったが、大久保の負傷によって安居海渡を入れて小泉をサイドハーフにシフトした。その小泉も後半に足をつって交代になってしまったが、大久保の負傷時点の前半では中島翔哉やアレックス・シャルクではなく安居を入れるあたりがマチェイ・スコルジャ監督なりの人選が表れているようにも見えた。

また、このゲームは会場のビッグスワンの芝がかなり厳しいことになっていた。ここの芝は寒冷地型、いわゆる「冬芝」ということなので、最も元気な温度帯は20度から25度くらい。暑いのは苦手で湿度にもそんなに強くないタイプなのだけど、それが猛暑に耐えられなかったということのようだ。例えば浦和の大原サッカー場は毎日のトレーニングで使用することもあって2面あるし、「夏芝」と同時に生育する「オーバーシード」という方式を採用している。夏芝はその名の通り暑さにはそこそこ強いが、冬になると黄色くなる。根は生きているので翌年の4月くらいには緑色になってくるが、その黄色くなってしまう間を9月ごろに種をまく寒い時期に強い冬芝で乗り切っていくというやり方だ。要は同じ場所で2つの芝を同時に育てているとも言える。他のもので例を挙げると、近年は多くの競馬場でこの方式を採用しているため冬場のレースでも芝が緑色をしている。ただ、年間で多くても30試合くらいしか使わないサッカースタジアムでオーバーシードをやるにはコストの問題もあるし、なかなか難しくはあるのだが。

相手のミスが少なからずあったことで必要以上にアクセルを踏んだか

とはいえ、その芝の状況は試合展開にも影響は与えた。特に前半、後ろから丁寧につなごうとする新潟はいつも通りの試合をしようとしたが、この芝が影響したのか少なからずミスがあった。浦和は前が頑張りつつも、相手のミスを利してボールを拾うと素早く攻める意思を見せた。こうやって文字にすると、「何が問題なのか」となるかもしれない。ただ、この回数が想定よりも多くなったようには見え、ましてそこからゴールを2点、3点と生み出せたなら良かったものの1点のみで終わってしまったので、この「アクセルを踏まされた」ことが後半に運動量の崖を迎えることを誘発してしまったように見えたところもあった。

小泉は試合後に「4-4-2のゾーンをしっかりと作って我慢しながら、牽制しながら相手がミスをした時にしっかりとプレッシングをかけていくという所は、意図してやっていて、それでうまいことボールを奪えた所もあったし、その狙いはすごく良かったと思います。でも、僕個人としてもそうですけど、どうしてもショートカウンターみたいな展開が多くなりすぎた所もあって、それで点が獲れれば問題ないですけど、もう少しボールを持ってゲームを進めるとか、相手を下げさせるみたいなことができていたら、また違ったのかなというところもありますね」と話しているが、同じような印象を受けた。

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