浦レポ by 浦和フットボール通信

酒井の言葉から1ゴール、勝ち点1の重みを知る歴史があることを忘れてならないと身を引き締めた【試合取材後記 今日のミックスゾーンから】

試合後に選手たちが取材対応をするミックスゾーンでの選手たちの様子をたかねえがお伝えします。(Report by 河合貴子)

(Report by 河合貴子)

この勝ち点1をどう捉えるか

準備万端に勢いよくアウェイ新潟に乗り込んだ浦和であったが、やはり新潟は一筋縄ではいかなかった。天皇杯・準々決勝で新潟と川崎で死闘を繰り広げたデンカビッグスワンスタジアムのピッチは、その傷跡を大きく残していた。さらに、酷暑の新潟は夕方になり気温が27.6℃と下がったとはいえ、ピッチは無風状態で湿度が82%と空気が肌にまとわりつくコンディションの中での試合であった。

天皇杯から中2日の新潟は、スタメンを総入れ替えして挑んできた。浦和は、上位戦線に食らいついていくために勝ち点3ポイントは是が非でも必要だ。新潟がポゼッションをしてくるのは折り込み済みの中、距離感の良い守備で新潟に決定機を作らせない浦和であった。ただボールを奪うものの、なかなか効果的な攻撃の崩しができない中、20分に大久保智明選手が相手のプレスを交わした直後に左脚裏を気にしてピッチに座り込んでしまった。このアクシデントによって大久保選手は安居海渡選手と交代を余儀なくされてしまった。そして、安居選手をトップ下にし、小泉佳穂選手を右ウィングへとポジションを代えて対応をした。

31分には、ペナルティーエリア内へと長谷川選手のスピードに乗った突破を明本考浩選手が必死で身体を入れて止め、ルーズボールに飛び込んだ選手たちに対しても岩尾憲選手とマリウス・ホイブラーテン選手でうまく対応することができた。

その直後、浦和のチャンスがやってきた。34分に得た最初のCKであった。岩尾選手の弾道が低めの右CKをしっかりと合わせた関根貴大選手のヘディングシュートが、プレスを掛けに来ていた長倉選手の腕に当たり、VARとオン・フィールド・レビューの確認で松尾主審の判定はPK。浦和のPK職人アレクサンダー・ショルツ選手が、冷静にゴールへと流し込み待望の先制点を獲得した。

あとは、流れの中で追加点が欲しいところであったが、後半もボールを支配したのは新潟であった。1点を追う新潟が一気に攻勢を強めたのは、飲水タイム後の73分だ。秋山選手、小見選手、三戸選手を投入して攻撃を活性化してきた。浦和も78分に興梠慎三選手とアレックス・シャルク選手を投入して対抗したが、すぐに新潟も松田選手を投入して右サイドをケアしてきた。この松橋監督の采配がずばり的中してしまった。

80分、松田選手が粘り強くカットインから放ったシュートが、ショルツ選手のブロックでリフレクトしたところを小見選手に詰められてしまい、右ゴールポストに直撃しながらゴールへと吸い込まれてしまった。試合終了間際にはショルツ選手が右肩を負傷する一幕もあり、結局は最後の笛が鳴るまで両チームともに勝利にこだわった結果の1-1の痛み分けであった。

試合を通して約63%もボールを支配されてしまい、蒸し暑さの中で前半のようにコンパクトな守備で新潟のシュート1本に抑える守備は90分間続かない。逆転負けを喫さずにアウェイで貴重な勝ち点1を獲れたと考えるのか、虎の子の1点を守り切ることができずに勝ち点を失ったと考えるのか・・・。スタジアムに駆けつけた浦和の愛する人々の反応も拍手とブーイングが入り混じっていた。できれば『攻撃は最大の防御』としっかりとリスクマネジメントしながら、流れの中から2点目が欲しかったところだ。

スタンドの記者席から、とぼとぼと階段を下りて記者会見場へと向かった。それだけで、もう汗が噴き出す。汗だくになりながら、大久保選手の負傷交代でゲームプランが厳しくなったことや、後半の飲水タイムの新潟の3枚替えのことなどを考えたり、攻撃の流れがなかなか掴めない浦和の課題など思考を巡らすと足取りが重くなる。

厳しい表情をしたスコルジャ監督の会見が始まった。スコルジャ監督は「後半は、相手を自陣のペナルティーエリアから遠ざけようとする守備を試みた。後半の飲水タイムの後に少し集中力が切れてしまって、大事な勝ち点2を失うことになった」と悔しさをあらわにしていた。

デンカビッグスワンスタジアムのミックスゾーンは、会見場からスタジアムを約半周するほど距離がある。建物の外に出て、正面玄関の前を通り、その奥に両チームの選手バスが止まっている。スコルジャ監督の会見の途中でミックスゾーンへと足早に向かった。

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