【島崎英純】2023FIFAクラブワールドカップ3位決定戦/浦和レッズvsアル・アハリ・試合レビュー『満身創痍、疲労困憊。不本意な撃ち合いに末に屈する』

©Yuichiro Okinaga

早々の複数失点

FIFAクラブワールドカップ準決勝でUEFAチャンピオンズリーグ王者のマンチェスター・シティに敗れた浦和レッズは2023シーズンの最終の公式戦となった同大会3位決定戦に臨んだ。対戦相手のアル・アハリはCAFチャンピオンズリーグの王者であり、当然ハイクオリティなチームだ。ポゼッション能力が高く、各選手のフィジカル、スピードも申し分ないため、がっぷり四つで向き合ったときにどれだけ浦和が相手を制せるかは試合が始まってみないとわからない部分もあった。

浦和のスターティングメンバーはマンチェスター・シティ戦から大久保智明だけが外れ、キャプテンの酒井宏樹が満を持して先発した。2列目の関根貴大、安居海渡、小泉佳穂という並びは久しぶりに見た感もあるが、それでもマチェイ・スコルジャ監督が今季全般に渡って信頼を寄せてきた選手たちで編成された印象がある。

一方のアル・アハリは4-1-4-1のような布陣に見えた。アンカー役を務めるマルワン・アテヤが巧みにビルドアップの中心に立ち、左右のエリアを満遍なく使いながらワイドアタックを仕掛ける。試合開始直後こそ浦和のプレスワークに戸惑う様子を見せた彼らは、時間の経過と共にこのサイドアタックを活性化させ、徐々に浦和を圧迫していった。

気になったのは浦和の4-4-2ディフェンスブロックがこれまでよりも不安定だった点だ。特に相手のサイドからの攻撃に対してアプローチ速度が遅れ、かなり自陣深い位置まで侵入された末にクロスを上げられるシーンが目立った。両サイドバックの酒井&明本考浩、両サイドMFの関根&小泉の計4人のディフェンスワークが整っていなかったのか、相手ボールホルダーへ近接できずに守勢に回る展開が増え、必然的にピンチが度々訪れた。

浦和は同大会準々決勝のクラブ・レオン戦でも使用されたプリンス・アブドゥッラー・アル・ファイサル・スタジアムのピッチ状況にも難儀している様子だった。何人かの選手がパスやトラップの精度を欠いたのはそれが理由なのだろうか。ただし、時間が経過する毎に浦和の選手のプレーが緩慢になっていったのを見ると、そもそも各選手たちの疲労がかなり蓄積されていて、3位決定戦を戦う時点でもはや満身創痍の状況だったのかもしれない。

【2023FIFAクラブワールドカップ3位決定戦/浦和レッズvsアル・アハリ・スターティングメンバー】

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