J1第10節全試合振り返りLIVE(J論)【4/14(月)22時】

割り切った前半、後半スパークもドローで決着【島崎英純】2022Jリーグ第27節/浦和レッズvs北海道コンサドーレ札幌・試合レビュー

©Takehiko Noguchi

再び対戦相手を鑑みた戦略

リカルド・ロドリゲス監督は前節のサガン鳥栖戦と全く同じスターティングメンバーをピッチへ送り出した。この指揮官には『Never change a winning team』の采配傾向があることは以前の所作でも表れていたし、そもそも今節の対戦相手である北海道コンサドーレ札幌を攻略する骨子からも、この布陣形成が最適であると判断した可能性が高い。

GKの西川周作はフィード能力に長けており、シンプルなロングフィードから次々にチャンスを生み出せる才能を有している。その彼が試合開始直後から躊躇なく最前線のブライアン・リンセンへボール供給する姿を見て、浦和の戦略傾向がはっきりと読み取れた。それはバックラインの岩波拓也、アレクサンダー・ショルツ、酒井宏樹、大畑歩夢も同じで、できるだけ自陣でのショートパスワークを控えて敵陣で構える味方2トップへボールを送るアクションが目立った。そのフィードに対してスピードのキャスパー・ユンカー、フィジカルのリンセンが反応して札幌守備陣と個人勝負する。この際、相手にボールを奪われたりルーズボールが発生する頻度も高まったが、ここで浦和は左右MFの小泉佳穂&大久保智明やダブルボランチの岩尾憲&伊藤敦樹が接近してフォローアップし、セカンドボール回収、もしくは即時奪回ディフェンスの態勢を整える考えがあったように見えた。すなわち戦前の浦和は明確にショットガンプレー&プッシュアップを攻略手段として捉えていたのだと思う。

一方で、札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は自身が構築した“ミシャ式”をブラッシュアップさせる作業を怠らず、今回も浦和に対して独特な戦略を採ってきた。彼らの定形システムは3-4-2-1だが、今回は3バックの両ストッパーが高めに定位し、リベロとダブルボランチの一角(主に高嶺朋樹)の2枚が最後尾に位置したうえで、もう一方のボランチである荒野拓馬が機敏に立ち位置を変えてビルドアップスキームをスムーズ化させていた。一見すると4-3-3にも見える布陣だが、それでも“ミシャ式”の戦術骨子は一切変わっていない。

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