【無料掲載】日々雑感—新たなる誓いー梅崎司

期待を受けることの意味

ケガをしなかったら気づけなかったことがある。

左足の前十字靭帯損傷が判明した直後に様々な方からメッセージを頂いた。今はSNSもあるから皆の言葉がダイレクトに届く。

皆が自分以上にショックを受けて涙を流してくれた。

『梅なら必ず復活する』。

『絶対に戻って、またピッチの上で走り回れる』。

以前、右膝を負傷した時も千羽鶴を折ってくれた方がいて、周囲の気持ちを有難く思った。でも、あれから6年が経ち、様々な人々の思いが一層自分の中に積み上がったのかもしれない。だからルヴァンカップで流した涙は、そんな皆の気持ちを一心に受け止められたという、本当の意味での嬉し涙だった。

クラブ、チームを支え、サッカーを観る方々はプロサッカー選手に何を追い求めるのだろう。リオネル・メッシのようなスーパースターのプレーを観て楽しみたいのは当然だろうが、そんなプレーを満足に観せられない自分がいる。それでも信じている。浦和レッズのサポーターは上手い選手だけを観たいんじゃない。チームのために闘っているか、真剣にプレーしているか。それだけで、皆が感情を突き動かしてくれる。チーム、そして選手のために笑ってくれる。泣いてくれる。

子どもの頃からサッカーに挑戦してきた。中学を卒業して越境で長崎から大分へ行った自分を快く送り出してくれた母親に感謝している。父親と離婚して自分と弟のふたりを育て上げるのは大変だったはずなのに、母親は夢を叶える手助けをしてくれた。そして、今の自分にも大切な家族がいる。今後は妻とふたりの子どものためにも胸を張って、『梅崎司とは、こんな選手なんだよ』と示したい。

現状維持なんて自分らしくない。ケガから復帰したら、また全精力を傾けて、正直に、一心不乱にピッチを駆けたい。ルヴァンカップを制した直後に駒井(善成)が泣いていた。彼はチームの優勝より、自分のプレーが不甲斐ないと言って泣いていた。それを聞いて奮起した。自分もまだまだ、これからが勝負なんだと気合を入れ直した。

だからチームには、絶対にチャンピオンシップを制してリーグタイトルを掴み取ってほしい。年間1位を決めた事実は尊い。だからこそ、しっかりとタイトルを僕らの胸に抱きたい。浦和が一番強い。その純然たる事実を内外に示すには、明確な結果を得なきゃならない。そんなことは、生涯に一度もリーグタイトルを得ていない自分が十分に理解している。だから今は、サポーターと共にチームの皆を後ろから支えたい。

これからのプロサッカー人生を楽しみにしている。皆が背中を押してくれるから前へ進める。このチームで、梅崎司は必ずもう一度輝くと、心から誓う。

それが浦和レッズの選手として闘う僕の、唯一無二の使命なんだ。

 

 

 

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