不調に陥るチームを再生させたミニミーティングと指揮官の采配【島崎英純】2016ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦レビュー

チーム状態が下降気味の中でのACLノックアウトステージ・ラウンド16

浦和レッズはチーム状態が下降気味だった。Jリーグ1stステージ第11節・大宮アルディージャ戦は1ー0の辛勝。続く第12節・アルビレックス新潟戦は0ー0のスコアレスドロー。浦和がリーグ戦で得点を奪えなかったのは第6節の横浜F・マリノス戦に続き(0ー0)2度目だった。

選手にも負傷者が生まれ始めていた。高木俊幸が練習中に右膝内側側副靭帯損傷のケガを負って別メニュー調整を強いられ、他にも宇賀神友弥、永田充、加賀健一らが負傷を抱え、阿部勇樹、森脇良太、遠藤航、武藤雄樹、興梠慎三、関根貴大など、常にスタメンでピッチに立ち続けているメンバーがミニゲームを回避して別メニュー調整に回るなど、今季キャンプからハードスケジュールをこなしてきた選手たちの身体にダメージが蓄積されていることがうかがえた。

その中で迎えたACLノックアウトステージ・ラウンド16、FCソウルとの一戦は浦和にとって今季最初の正念場となった。相手は昨季のKリーグ2位で、今季は首位を走る文字通りの強豪である。指揮官の崔龍洙監督は2011シーズン途中からチームを率い、リーグ、カップ戦を制する実績を備え、成熟した組織を作り上げていた。

崔監督が採用するシステムは3ー1ー4ー2という特殊な形で、中央エリアに選手が密集しつつ、可変する形で5バックとなってサイド局面も埋める高度な戦術を実践する。浦和は相手の目論見をスカウティングして練習から対策を練ったが、試合前日のミニゲームではFCソウルと同じシステムで臨んだ控え組が主力組から5ゴールを奪って完勝し、チーム全体の危機感が高まっていた。

■チーム中核選手と監督の緊急ミーティング

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