無料記事:4人目の動きまで求める連動を反復練習【島崎英純・鹿児島キャンプレポート第4日】(2016/2/3)

午前練は高木と青木が別調整、駒井はホテルで調整

浦和レッズは鹿児島キャンプ4日目の今日、鹿児島県指宿市の指宿いわさきホテル内サッカー場でトレーニングを実施した。

本日の鹿児島県指宿地方は穏やかな晴れで、風も弱く、練習には絶好のコンディションとなった。この日はまず鹿児島県指宿市からの歓迎セレモニーが催され、地元産のフルーツや鹿児島名産の黒豚、カンパチなどがチームへ進呈された。

その後、チームはさっそく9時30分からの午前練習に取り組んだ。前日の東海大学熊本とのトレーニングマッチで45分✕4本、しかも相手が11人に対して10人で戦うハンディマッチを敢行した選手たちは疲れも見せずにジョギング、鳥かご、3人一組でのパス回しと、通常と同様のトレーニングルーティーンをこなした。そして、ここから今鹿児島キャンプでは初となるミニゲームが行われた。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は選手たちに細かい指示を飛ばして指導を施し、時には大声を上げて不満の意を表するなど、選手たちに高い意識と集中を求めた。

練習は約1時間半後の11時に終了したが、直後にペトロヴィッチ監督がスタッフ、選手を含めた全員を集め、グラウンド脇に設置された椅子に座らせて約30分間の青空ミーティングを開催した。その内容は非公開のため詳細不明だが、漏れ聞こえる話の内容はチームコンセプトの徹底、プロとしての心構えなどだったと思われる。「すべての試合は練習が基盤になっている」というチームの根本に関わる指針を説き、今一度結束を図る。

今シーズンの強化キャンプは沖縄での第一次が10日間、そして鹿児島での第二次が18日間と長丁場となるため、チーム全体の共通理解、意識付けが成されなければ緩慢な空気が流れてしまう。その点を考慮した上で、ペトロヴィッチ監督はスタッフ、選手たちに気持ちの引き締めを促したのだろう。

午前練習の参加選手の情報を整理しておく。まずリハビリ調整中の青木拓矢は前日までと同様にグラウンドに姿を現して別メニュー調整を行った。また高木俊幸もチームとは遅れてグラウンドに姿を見せ、主にジョギングなどの軽いメニューをこなした。一方、駒井善成はピッチに姿を見せず、ホテル内で室内調整を行った。その他、Jリーグの新人研修に参加している福島春樹と伊藤涼太郎のふたりは明日からキャンプに再合流する。そして遠藤航は7日に埼玉スタジアムで移籍加入会見を行って同日夜に鹿児島入りし、8日の練習からチームに初合流する予定だ。

午後連でも青木と高木は別、駒井は姿を見せた

午後練習は15時30分から開始。青木、高木は午前中と同じく別メニュー調整で、駒井も姿を見せて高木と同じメニューをこなした。また午後練習ではブランコ・イリッチが別メニューとなったが、こちらは疲労を考慮されたもののようで、明日以降は通常練習に戻るだろう。

午後もいつもと同じく鳥かご、3人一組のパス回しを行い、ここで今キャンプ2度目となる仔細な戦術トレーニングが実施された。まず、ビブスによるチーム分けが以下のようになされた。

ビブス(黄)=梅崎司、石原直樹、ズラタン、関根貴大
ビブス(青)=武藤雄樹、李忠成、興梠慎三、宇賀神友弥
ビブス(白)=加賀健一、那須大亮、橋本和、平川忠亮
ビブス(赤)=阿部勇樹、槙野智章、永田充、森脇良太

ビブス(黄)、ビブス(青)が攻撃のセット、ビブス(白)、ビブス(赤)が守備のセットといった印象だが、この戦術トレーニングではその差別なく、攻守の連係が確認された。まず前線に1セットの4人が並んで攻撃の担い手となり、それに対して1セットの4人がマンマークで守備に付く。ペトロヴィッチ監督から縦パスが入り、そこからボールを受けたチームが攻撃を仕掛け、一方が守備をする。ペトロヴィッチ監督は如何に相手マークを外してコンビネーションで崩すかを選手へレクチャーし、1,2、3、そして4人目の選手までの連動を求めた。また、守備側がボールを奪った際には一転して攻撃へ転じ、前線への全力ダッシュからロングフィードを繋ぎ、連動して他の3人も相手陣内へ入り込んでフィニッシュへ至る形を繰り返した。攻守の出入りが激しいプレーが続くために、選手たちは時折膝に手を置いて俯く場面もあった。

しかしペトロヴィッチ監督の真剣な指導は終わらない。今一度相手マークの外し方を仔細にレクチャーし、今度は上記のビブス(黄)とビブス(白)のチームとビブス(青)とビブス(赤)のチーム同士での8対8を敢行した。その陣容は以下の通りだ。

 

 

 

ペトロヴィッチ監督は先ほどの戦術トレーニングで指導した形を徹底して反復させ、実践の中でも正確にプレーできるよう何度も檄を飛ばした。またこのミニゲームではワンタッチ、リターンパス禁止など、時間を経る毎に厳しい条件を与え、その中でもプレー精度の向上を課した。非常に難しいタスクを課せられた選手たちはお互いのチーム内で声を掛け合うなどして連係に腐心し、最後は黄─白チームが流麗なパスワークを発動した末に石原直樹が豪快なボレーシュートを決め、この練習を終えた。

鹿児島キャンプも今日で4日目。その前に沖縄で10日間の第一次キャンプを行っているチームは全体的に疲労の度合いを深めている。また前日は東海大学熊本を相手に10人でのハンディマッチを行い、試合出場した選手のほとんどが90分間フル出場した。しかしペトロヴィッチ監督は集中力欠如を戒め、試合翌日に午前午後の2部練習を敢行し、午後は2時間のトレーニングを実施した。

過去のキャンプでもそうだったが、ペトロヴィッチ監督は厳しい時期にこそ負荷の掛かるトレーニングを行う。これによってチーム全体の結束力を高め、選手たちの集中を保つ作用を及ぼそうと考えている。今季のキャンプも時を経る毎に練習内容がハードになっているのはその証左だろう。

浦和は明日も午前午後の2部練習を実施する予定で、そこでは5日に控える柏レイソルとのトレーニングマッチに向け、実践形式中心のメニューが組まれるだろう。

(了)

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