【清水英斗プレゼンツ】クロップ監督から学ぶべきこと『浦和レッズ-Next & Future』(2015/10/19)

リバプールに起きている変化

チャンピオンズリーグの場など、仕方のないとき以外は、めったにスーツを着ない。自分の結婚式でさえTシャツで出席した男が、トレードマークのジャージとスウェットをまとい、(キャップはかぶらなかったが)、プレミアリーグの舞台に現れた。

リヴァプールの新指揮官、ユルゲン・クロップ。

この強烈な個性を持つドイツ人が、先立って解任されたブレンダン・ロジャースのチームを引き継ぐ。

準備期間が3日しかないため、「1~2週間は大きくは変えられない」と語っていたクロップ。ところがどうだ。スコアレスドローに終わった、初陣のトッテナム戦には、“クロップ色”がしっかりと表れていた。

まずは、運動量。

リヴァプールは、ここまでの8試合で走行距離が1試合平均107.8キロ、スプリント数が474本だった。しかし、今回のクロップが率いたトッテナムとの試合では、なんと走行距離116キロ、スプリント614本と、大幅にアップしている。だが、正直に言って、データを見るまでもない。クロップのリヴァプールが、とんでもなくハードワークするチームに变化したことは、試合を見れば一目瞭然だった。

次に、ボールを“奪われた”回数だ。

新しいリヴァプールは、インターセプトとタックルにより、34回にわたってボールを“奪われている”。この戦術の志向性は、ボールを大事にするロジャースのチームとは大きく異なる。ポゼッション率自体は、50%をやや越える程度で、ほとんど変わっていないが、ボールロスト数は、ロジャース時代の2~3倍に増えてしまった。

クロップの哲学

クロップの哲学は、ボールを持ったら、とにかくゴールへ向かうこと。そこでミスをすることを恐れない。むしろ、ミスを前提として、ボールを奪われたらすぐにゲーゲン・プレス(カウンタープレス)で奪い返す。オープンに殴り合うフットボールを好む、クロップという監督。チームが変わっても、この哲学だけは不滅だ。

そして、若手を抜てきすること。

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