【清水英斗プレゼンツ】『浦和レッズ-Next & Future』すみませんシンドローム(2015/1/15)
日本の「すみません」文化
年末に行われた、アギーレの八百長問題に関する記者会見。そして、つい先日行われた、マクドナルドの異物混入事件に関する記者会見。
このふたつの会見を見て、僕が改めて実感したのは、日本には『すみませんシンドローム』が存在するということだ。
どちらも現時点では明らかにならないことが多いため、答えられる範囲にも限りがある。するとメディアは、真実がどうあれ、今の時点で「世間を騒がせたこと」「心配をかけたこと」を、謝罪しろと迫る。
たとえばスポニチは次のように報じていた。
「アギーレの会見は約40分に及び、逆ギレ気味に潔白を主張したが、肝心の“疑惑の金”に関する説明はなく、無実の根拠は一切なし。辞任の意向がないことを強調し、騒動の渦中にいることに対する謝罪もなかった」
日本のメディアは、アギーレが謝ろうとしないことが、たいそう気に入らないようだ。同じような論調はスポニチに限らず、数多く見られた。アギーレとしては「自分は悪いことをしていない」と潔白を主張しているので、絶対に謝らない。むしろ、ここで謝ったら負け。そういう感覚が彼らにはある。
そこで思い出したのが、2006年頃、僕がドイツに住んでいたときのことだ。
DB(ドイツ鉄道)を使って、ミュンヘンからフランクフルトへ帰宅する途中、遠くの地域で事故があり、僕が乗っていた電車が目的地にたどり着けなくなるアクシデントが起こった。
怒った乗客たちは、車掌に詰め寄った。「今日中に着けなかったら、どうしてくれるんだ!」と。そのとき、ドイツ人の車掌が言い放った言葉が、いまだに鮮明な記憶として残っている。
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