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【エジリの定理】VOL.2 斜めの走り「ボールを持っている選手の選択肢も広がる。僕は『ポケットへ入れ』と言う」(2013/10/26)(1,319文字)

 江尻篤彦コーチにサッカーの「ツボ」を聞く新コーナー第2弾です。ジェフは練習で何をやっているのか、どういうところにポイントを置いて指導しているのかを聞き出していこうと思っています。

 次の対戦相手へ向けての準備とか、チーム戦術の確認などは主に監督の仕事ですが、料理を作るときのレシピが戦術なら、ダシをとるとか包丁を研ぐとか、そういうベースの部分もとても大事です。また、練習で何をやっているかは外から見てもわかりますが、技術的に何を意図しているかは見えにくいところがあります。江尻コーチはいつも選手に声をかけていますが、いったい何を話しているのか。

 スモール・チップスとかディテールと言います。うまくなるためのコツですね。プロのプレーヤーですからそこを言う必要のない人もいます。しかし、知っているけれどもときどきできていない選手もいますし、できているけど自覚していない人もいます。なので、プロの現場でもコーチは同じことを何度でも繰り返して言うわけです。

 第2弾は斜めの走りです。

 タッチライン際の選手にボールが渡った瞬間、中央から町田也真人選手が斜めに走り抜けていく、そういうシーンが試合で何回か見られると思います。かつては羽生直剛選手がこういうランをよくやっていました。

 この中央からサイドへ斜めに走って、ボールホルダーの前のスペースへ出て行く動きにはどんな意味があるのでしょうか。江尻コーチは「うちの生命線」とまで言っています。


――斜めのランニングの意図を教えてください。
江尻「相手のコンパクトな守備を広げたいという意図がまずあります。町田が斜めに走ったとして、相手がついてこなければパスを受けられるし、ついてきた場合でも相手のラインが下がったり中央が空いたりするので、ボールを持っている選手の選択肢も広がるんですね。僕は『ポケットへ入れ』と言うのですが」

(残り 958文字/全文: 1730文字)

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