「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

声で生まれるつながりをもう一度/【プレビュー】J1第31節 鹿島対浦和

苦しい試合に終わったあとは、いつも仲間隼斗と話をする。つねにファイトすることを忘れず、それでいて自分の姿も客観的に見えている彼の言葉は、悔しいという感情に溺れることなく、だからこそどうしなければいけないのかを感じさせてくれる。

今回もそうだった。

「人間ってなんなんすかね。ちょっとこっちに意識を移したら、今まであったものよりそっちが大きくなっちゃう。それでいて原点、原点って言い過ぎると成長もないし。だからきっと話すんでしょうね」

ボールの動かし方を整理し“飛ばす”選択肢と対をなす“つなぐ”に取り組んだら、“飛ばす”が完全に頭から抜け落ちてしまっただけでなく、根幹としてきた球際の戦いやコンパクトな陣形を維持する意識などもすっ飛んでしまった。前半、チームメイトが戸惑っている姿をベンチで見ていた仲間はもどかしい思いを抱えていたという。

「3週間準備できてしまったことが逆にマイナスに働いてしまった。まずは自分たちの根本の部分を相手にぶつけてから、相手をうわまわるにはこっちをしていこう、という順番が、僕は大事だと思っている。でも、神戸戦は頭がプラスアルファの方をメインにしてしまっていた」

おそらくメンバー構成は元に戻すことになるだろう。最後の公開練習日だった水曜では、守備のやり方を確認した後に紅白戦を実施した。

「これまでのシーズンを振り返ると、いい試合ではいい守備からいい攻撃というのが多かった。俺の推測ですが、監督もそう思ったんじゃないかと思っています。まず自分たちの強みを出した上で、プレスアルファで最近取り組んでいるつなぐ部分をやれればいい。横の選手のつながりや、選手間のつながりをもう一回確認しよう、という意図があって、今日の練習があったんだと思います」

 

 

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