Dio-maga(ディオマガ)

【トピックス】結局はみんなサッカー選手が大好きで憧れ。

「モンテディオ山形の長沼洋一です。フォワードをやってます。20歳です。(若~い)みんな何歳?(11歳!)若いじゃ~ん(笑)。僕の好きな食べ物はチョコレートです。今日はよろしくお願いします」

酒田市立十坂小学校を夢クラスで訪問したのは、長沼洋一とイジェスンと李康行通訳。イジェスンは今回が夢クラス2回目、そして長沼洋一は移籍加入からわずか一ヶ月半という加入後最短での夢クラス参加となった。
2人ともゲストティーチャーの経験値は少なく、さらに韓国人選手イジェスンには通訳がいるものの言葉の壁もある。正直、この組み合わせで大丈夫なのかなという不安もあったが、蓋を開けてみればまったくの杞憂で、児童と選手が楽しく触れ合う夢クラスとなった。

楽しく蹴る女子児童には気軽に。立ち向かってくるサッカー少年には足の裏を通して交わすテクニックもみせる。ちゃんと使い分けてボールを蹴っていた。

レクリエーションではサッカーが行われ、児童と選手たちが楽しくボールを蹴り合う。FWの長沼は手加減をしながらも、華麗な足さばきでコーンを交わすかのように児童の間をすり抜けて行く。相手の児童に向かって「ヘイ!こっちこっち」とパスを要求してパスカットするという、公式戦ではまったく通用しなさそうな大人のコミュニケーション能力もいかんなく発揮しながら、笑顔でゴールを決めていく。

怪我でリハビリ中のイジェスンはボールを蹴れないためキーパーをしていたが、出番を待っている児童たちと和気あいあいと会話をしながらプレー。児童から韓国語で挨拶をされたそうで、「ちゃんとわかりました。韓国語で答えたら喜んでいました」と、韓国語での交流を嬉しそうに話していた。
そのジェスンの代わりにフィールドに立った李康行通訳もときおり上手くボールを運んで見せ場を作る。児童の前で高くボールを蹴ると喜ばれるのはサッカー選手がやる常套手段の一つだが、これもちゃんと披露して「あの通訳うめー!!」と児童たちから言われ続けていた。最後の最後で長沼のクロスを触りきれずに頭を抱えていたが、ご愛嬌だろう。

児童の夢を真剣に聞く2人。ジェスンにとっては2回目の夢クラスだが、「去年は子供を相手にするのが初めてで緊張していましたが、今年は余裕を持ってやれました」とリラックスして交流できたようだ。

この後は夢の発表。児童39名全員が「サッカー選手になりたい」「漁師になりたい」「パティシエになりたい」といった自分の夢を発表すると、選手2人がそれぞれ話す。

長沼「僕は小学校2年生でサッカーを始めて、その頃から夢を持ってサッカーボールばっかり蹴っていた。自分が何をしたいかだけでなく、何をしたらなれるかを考えて欲しい」

ジェスン「自分はサッカーが好きだったのでサッカーをするためにスポーツの道に進みました。自分の決めたことを責任を持って最後まで成し遂げることが大事。挫折や難しいと思うこともたくさんあるけど、それに耐えて夢を叶えて欲しい」

と、夢に向かう児童にメッセージを送っていた。

質問コーナーでリフティングのコツを聞かれて長沼が実演。「小3の頃から色々な技にチャレンジしていた。500回くらいは余裕だった」と話し、「ボールをしっかりと見て、ボールの中心を蹴ること」とコツを教えていた。

グーフェイントでチョキを出した長沼。よく見ると裏の裏をかかれて何人かにグーを出されてもいる。2回目はパーを出すと宣言してから正直にパーを出し、結果は「全員勝ちました」と言って、みんなにチケットをプレゼントしていた。

児童たちの質問に答えたあと、最後に児童にはクラブからスタジアム観戦の招待チケットが配られたが、なぜか長沼が「ジャンケンで俺に勝ったらね~」と急遽ジャンケン大会を開催。「じゃあ俺は絶対にグーを出すから!」という宣言からチョキを出すというお約束まで欠かさず、最後まで児童たちの笑いを誘っていた。

「広島で今年のキャンプに入る前に小学校に行ったので、実は今日が2回目でした。でもその時は清水(航平)選手と中林(洋次)選手の3人で行ったので、僕は影に隠れていて。だから今日は自分が盛り上げなきゃなと思っていました」

この日、あれこれ趣向を凝らして盛り上げようとしていた長沼。「サッカーよりも話のほうが聞き入っていて面白そうだった」といいながらも、「みんな喜んでいたし、笑っていたので良かった。自分も楽しめたので」と笑顔で答えていた。

酒田に行くまでに感じていた不安は、実は体育館で開始を待っている間にすっかり消し飛んでいた。目の前では先生が目を離している隙に、児童たちの方が選手の登場を待ちきれず、立ったり座ったり、様子を見に行こうとしたりと、そわそわしていたからだ。

帰りがけに控室の前で児童にサインをせがまれていたが、すでにフラッグやサインはプレゼント済み。さらに児童全員にするのは時間的に難しかったので、代表してサッカーボール限定でサインをすることに。運動着に着替えた児童たちが、これから何回でも蹴るであろうボールに喜々としてサインをもらっていた。すぐに消えてしまうだろうが、その分だけ上手くなるはずだ。

帰りがけには夢クラスに参加しなかったであろう低学年の児童から「モンテの選手来たの?もう帰っちゃた?」と目を輝かせて聞かれる。その後着替え終わった選手たちが現れると、すぐに児童に囲まれ、車で出る時も下校する児童たちに手を振って見送られた。
この日の盛り上がりは長沼の頑張りがあってこそだが、そもそも児童たちみんながサッカー選手が大好きで、憧れの的だったのだ。

文・写真 嶋守生

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ