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【2015番記者座談会/vol.1】J2降格の原因はどこに?

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歓喜のJ1昇格決定から1年。再びのJ2降格という悔しい結果となった2015年を、チームに密着して取材してきた番記者が振り返りました。〈Dio-maga〉ライターの佐藤・嶋にスポーツ新聞二紙の記者を加えた、ため息あり笑いありの座談会の様子を4回に渡ってお届けします。
(なお、新聞記者A氏・B氏はともに表向き匿名ですが、座談会の記事を読めば正体はだいたいわかります)。
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■座談会参加者■(実施日:2015.12.11)
スポーツ紙記者 A氏
スポーツ紙記者 B氏
フリーライター 佐藤円(Dio-maga)
フリーライター 嶋守生(Dio-maga)
※文中の発言はあくまで個人の見解です。

——みなさん1年間お疲れさまでした。今日はフリートークでざっくばらんにモンテディオの1年間を振り返りましょう。では、ゲストの方の自己紹介から始めていきましょうか。

A記者 奥野監督の2年目、2013年からモンテを担当して3年です。なので昇格も降格も味わいました。スポーツ記者歴は4年目。それまでは高校野球の雑誌の編集などをやっていました。30代、既婚です。

B記者 モンテ担当は今年の5月から。私は新聞社に入って12〜13年目ですが、最初の2年半は編集の内勤の部署で紙面を作っていまして、その後、営業を8年半やって、今年5月から念願の記者になりました。だから記者として最初の仕事がモンテディオ山形です。今でも覚えていますが、5月1日の取材初日が平田牧場のソーセージ提供の日でした。

A記者 ああ、あの日。ピッチでギシさん(山岸選手)に贈呈があった。

B記者 翌日が横浜FM戦で、その前日にヒラボクの人が来てチームにソーセージを贈ったということで、ソーセージ原稿を書いたんですけど、「わけがわからん」と言われて紙面から外されたのがいい思い出です(笑)。

 載らなかったんだ(笑)。

B記者 5月からの取材でしたが、(今年チームがあげた)4勝のうち、横浜FM、柏、湘南戦の3勝に立ち会うことができました。趣味は将棋です。30代、独身です。

——では、今年の振り返りに入っていきましょう。

 まず話を振りたいのは円さんですよね。

佐藤 ……今年は……降格しましたよ……。

——そこなんですが、降格の一番の原因はどこにあったのでしょう?

佐藤 それは、点が獲れなかったという所に行き着くのでは……。

B記者 取材をしていてわからなかったのは、後半戦、みんなが「去年だったら〜」という話をしていたんです。

一同 あー(うなづく)。

B記者 例えば天皇杯の鳥栖戦。4−3で負けちゃいましたが、ある記者に言わせると「去年だったら粘り勝ちで勝っていましたね」と。そこが今年なぜダメだったのか、俺は去年を見ていないから逆に興味があって。

A記者 去年は終盤戦で、天皇杯で活躍した選手がリーグ戦に出て活躍して、チーム一丸となって雪だるま式にどんどん勢いがついて昇格、という快進撃があった。今年はそういうことがなかったかな。メンバーを固定していたせいなのか、チーム一丸には……。

 なりきれなかった?

A記者 と、思います。普段の練習でも紅白戦でも、去年とは全然違ったと思うんですよ。(去年は)サブ組でもやれば次の試合に出られるというアピールの場になっていたのが、今年はあまりメンバーチェンジがなかったから、紅白戦でもチームの雰囲気が上がっていかなかった。去年はすごくピリピリしたムードがあったし、(サブ組にいた)山﨑なんかはすごくみんなを引っ張って「絶対に俺たちが勝つぞ」という気持ちが見えていた。

 ただ、難しいですよね。トレーニングゲームの内容を見ていると、そこで出た選手を上(公式戦)で使うというふうにはなかなか、そういう選手がそこまでいっぱいいたかというと……。

佐藤 いなかったんじゃないですか?

B記者 その話を監督に聞いたことがあって。去年、天皇杯組が出てきたことによってチームが活性化した。今年はなぜそれが出なかったんでしょう?と。聞いたら「それは単純にJ1とJ2の差だ」と言っていましたね。J1で出せるレベルなのかというと、練習試合では見えてこなかった。例えば、後半戦の甲府戦(10/17)の直前に天皇杯の藤枝MYFC戦(10/14)があって、その前に練習試合(10/8 vs JAPANサッカーカレッジ)をやったんですよね。そこで、サブ組を使ってチームの底上げをしたいというストーリーと、甲府戦に対してスタメンを温存したいという2つのストーリーがあったはずなんです。でも、その練習試合の内容が芳しくなくて。

 全然でしたね。

B記者 正直、「こいつを使ってみようか」と思わせる雰囲気は出ていなかった。で、これは結果論ですけど、甲府はJ2愛媛との天皇杯に完全に控え組で臨んで勝っている。山形はJ3の藤枝にフルメンバー。そうしなければ勝てないくらい今年の山形は苦しかったのかなと。甲府戦敗戦後の監督コメントを読むと、佐久間監督がすごく生々しいことを言っている。山形は天皇杯をフルメンバーで戦って中二日だから、前半しのげば後半はやってこないだろうと。攻撃も、石川竜也からアバウトにボールを入れてくるだけだと思っていたから、そんなに怖くないと。点を獲る側とすれば、バレーに一発預ければなんとかなると思っていた、と言われていて、ほぼそれ通りだったという。

※参考:【山形vs甲府】佐久間悟監督(甲府)記者会見コメント「天皇杯で対戦した愛媛も同じようなスタイルで、十分に山形対策をすることができた」

B記者 話を戻すと、今年はメンバーの入れ替えという意味では、練習試合に出ているサブ組のパフォーマンスも上がらないし、使いたい監督も使えない。その悪循環だったなと。山﨑さんや林も、練習試合の後に取材してもあまり喋ってくれなかったですもんね。パフォーマンスが上がっていなかったから。

 藤枝に負けるわけにはいかないけど、何も考えずにサブ組を出していたらきっとやられていましたよ。

B記者 相手がいいサッカーをしていましたからね。ということは、もうその時点で苦しかったんじゃないかと。甲府戦も負けるべくして負けたというか。引かれてどうこうの前に、すでにそういうツボにはまっていたんじゃないか、という原稿を一回書こうとしたんですけど。

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