浦レポ by 浦和フットボール通信

ポイントだった3試合は1勝2分、次のステップに進めるかどうか【轡田哲朗レッズレビュー/J第27節 京都戦】

(Report by 轡田哲朗)

小泉の右サイドを継続し、トップ下に早川

浦和レッズは9月15日にリーグ戦の27試合目で京都サンガと0-0で引き分けた。ブライアン・リンセンのビッグチャンスにおける判定については、すでに多媒体などで多く取り上げているのであまり深く触れずに進めようと思うが、勝ち点1で終わるか勝ち点3を取れるかという点では残念なところが出てしまうゲームになった。

スタメンは代表活動明けの伊藤敦樹をベンチスタートとしたので、安居海渡がルヴァン杯のゲームに続いて岩尾憲とダブルボランチを組んだ。もちろん柴戸海のように違うボランチの選手を入れて安居をトップ下にする選択肢もあったのだろうけど、マチェイ・スコルジャ監督の選択は早川隼平をトップ下に起用すること。大久保智明が負傷した右サイドハーフは小泉佳穂が収まりの良さを見せ始めているので、そうやって動かさないポジションを作った結果としてトップ下の起用が1つの焦点になった。プレビューでも触れたように、アレックス・シャルクに関しては前回のガンバ大阪戦の最後に相手のとの接触があった時のリアクションと試合後のことから、出場が危ぶまれる要素はあった。

また、最終的に全員がピッチに立ったのも1つ驚きではあったものの、1トップに入る可能性のある選手を3人もベンチに入れておいたのは後半にゴールが欲しい展開が訪れることを予見していたのかもしれない。試合後の会見でも「後半に入ればスペースが空いてくることは分かっていました」と話すなど、ハイプレス志向の京都が元気な前半を上手くやり過ごして、後半に勝負を持っていくという大きなゲームプランはあったと見込まれる。特に、最終的に雨が降らずに助かったものの、湿った空気が流れ込んだ蒸し暑さのある環境だったので、前半から飛ばした京都の後半が厳しくなるのは、試合が始まった後も確信できていたのではないかと思う。

京都の狙いを外しつつ、うまくやり過ごした前半

そうしたプランを少し頭に置いて考えてみると、前半の浦和が相手サイドバックの後ろ側にボールを置きながら京都を1回下がらせる攻撃を多くできたのは、必ずしもゴールだけが目的ではない攻撃、つまり「攻勢防御」の観点からは良かったのではないかと思っている。京都のプランとしては、ボール保持率は問わないがなるべく浦和陣内でのプレーを多くすることだっただろう。つまり、浦和のビルドアップにプレッシャーを掛けながら前向きにボールを引っ掛ける回数を増やしたいし、それによって選手がピッチ全体を移動する回数を減らしたい。深く戻る回数を減らしながらピッチ上の高い位置を維持したい志向なのは分かるので、その狙いに乗らずゲームを進めたのは対戦型ゲームとして有効な手段だったとは思っている。

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