浦レポ by 浦和フットボール通信

ルヴァン杯準決勝進出を決めて充実感に包まれる 小泉選手も悩んでいた頃が、まるで嘘のように明るく笑顔【試合取材後記 今日のミックスゾーンから】

試合後に選手たちが取材対応をするミックスゾーンでの選手たちの様子をたかねえがお伝えします。(Report by 河合貴子)

第1戦での戦いを修正してガンバを攻略

YBCルヴァンカップ・プライムステージ準々決勝第1戦をアウェイで1ー0とG大阪を下し、ホームで迎えた第2戦。第1戦は勝利をしたもののG大阪に主導権を握られ苦しい展開の中での辛勝であったが、引き分け以上で準決勝進出が決まる優位な状況下だ。

気温28.8℃、湿度77%と蒸し暑く熱帯夜の中で、金曜日に開催されるリーグ・京都戦のことを視野に入れると延長戦は避けたいし、何よりもホームでスッキリと勝利を収めて準決勝へと駒を進めたい。

第1戦からの教訓は、ハイプレスの掛け方とボールを奪ってからのポゼッションだ。スコルジャ監督は「ハイプレスのところで改善できることがあるので、それができれば第1戦とは違った流れにもっていけることができる。DFゾーンでボールを奪って前に行けない時は、例えばサイドを変えながらボールをキープしてラインを上げながら前に行く時間を作らないといけない。ボールを奪ったら、可能であれば速攻が望ましいがそれは毎回ではない。特に、この前のような(第1戦)押し込まれた展開では、避けないといけないものでもある。もう少しキープしなといけない時間帯もある」と試合前の定例会見で話していた。その改善点が、ものの見事にピッチの中で具現化され3‐0の完封勝利で準々決勝突破を決めた。

浦和は、第1戦からスタメンを3選手入れ替えて(GK牲川選手から西川選手、MFシャルク選手から関根選手、FWカンテ選手からリンセン選手)挑んだ。一方のG大阪は、第1戦と同じメンバーを起用してきた。

試合開始から攻守においてアグレッシブな姿勢を見せた浦和は、8分に岩尾憲選手の右CKをブライアン・リンセン選手がピタリと合わせたヘディングシュートが決まり先制。エリア内での駆け引きでリンセン選手がフリーになれるように緻密に計算されたCKであった。

先制した浦和は、DFラインがズルズルと下がらずに非常にコンパクトな状態を保ち、良い距離感でハイプレスや4‐4の2ラインブロックを作りG大阪に決定機を作らせず自分たちのリズムでゲームをコントロールしていった。

このままでは終われないG大阪は、ハーフタイムに宇佐美選手も投入し4‐1‐2‐3から中盤をダイヤモンドにした4‐4‐2システムへと変更し攻勢を仕掛けてきた。

浦和もハーフタイムに早川隼平選手に替えて第1戦で値千金のゴールを決めたアレックス・シャルク選手を投入して追加点を奪う姿勢をみせた。

だが、決定機を作り出したのはG大阪であった。50分、厚みのある攻撃の流れからファン・アラーノ選手の狙い澄ましたシュートは枠を捉えることはできなかった。そして、その3分後の53分、食野選手のスルーパスに抜け出したジェバリ選手が、冷静に西川周作選手を交わすもゴールへ流し込むことができずに決定機を生かしきれなかった。

ピンチをしのいだ浦和は徐々に流れを取り戻し、60分にはリズム良く小泉佳穂選手、岩尾選手、シャルク選手、リンセン選手とパスを繋ぎ、最後は関根貴大選手がゴール右上を狙うコントロールシュートを放ったがわずかに逸れてしまった。

そして63分、丁寧にパスを繋ぎながら左右に揺さぶりをかけ、小泉選手からパスを受けた荻原拓也選手がダイレクトでゴール前と折り返したクロスを、リンセン選手がトラップから反転して放った左足のシュートが決まり2‐0。

さらに86分には、右サイドバックで途中出場したアレクサンダー・ショルツ選手から斜めの楔のパスをリンセン選手がスルーし、タイミングよく走りこんだシャルク選手のだめ押しのゴールが決まり3‐0と突き放し完封勝利を飾った。

第1戦の辛勝が、しっかりと生かされた快勝だ。埼スタを駆け抜ける夜風が心地よく、心が躍る。記者会見場では、ポヤトス監督が「大きな違いは、タレントだ。タレントの違いが、決定力につながる」と悔しさをあらわにしていた。

逆にスコルジャ監督は、満面の笑みを浮かべて「ブライアンもアレックスもシーズンのこの時期にクオリティーを見せられて良かったと思う。全体的に賢くプレーできたと言える。それを嬉しく思う」と本当に嬉しそうであった。

試合を通して両チームが放ったシュートは、浦和が11本でG大阪が10本とほぼ同じであるが、GK数で驚かされた。GKは、浦和の13本に対し、G大阪は5本だ。浦和のシュートのほとんどがしっかりとゴールの枠を捉えていたことが分かるデータだ。

ボヤトス監督が「タレントの違い」と嘆いていたのも分かるが、それだけシュートコースを消す浦和の守備がうまくいき、G大阪に無駄撃ちさせたともいえるだろう。

ミックスゾーンにいち早く登場したのは、ショルツ選手だ。ショルツ選手を皮切りに、続々と浦和の選手たちがやってきた。疲れ切った表情であったが、どの選手も充実感に包まれている。

(残り 759文字/全文: 2797文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ