浦レポ by 浦和フットボール通信

中2日を乗り越えた勝利、リーグ戦での上位争いに不可欠なオプション【轡田哲朗レッズレビュー/J第19節 鳥栖戦】

(Report by 轡田哲朗)

3敗で乗り切っているのは上位4チームだけ

浦和レッズは7月1日にリーグ戦の19試合目でサガン鳥栖に2-1で勝利した。浦和だけが中2日という日程になった遠征試合だった厳しい部分は後半に疲労を理由とした選手交代が複数ポジションで必要になったことからも明らかだったが、その苦しい部分をうまく吸収できるところも同時に見せられたのではないか。首位の横浜F・マリノスが簡単に止まってくれなさそうな気配は見せているが、4位の浦和までが3敗で乗り切っていて5位以下は6敗以上しているという順位表の事実を見ても、十分に上を争うにふさわしい成績でここまでを乗り切っている。

その中2日の影響もあってだろうが、6月28日の湘南ベルマーレ戦からは左サイドが関根貴大から髙橋利樹、1トップが興梠慎三からホセ・カンテへと変更になっていた。また、荻原拓也がベンチに戻ってきていたが、少しメンバーが固まってきたかなというのはこの試合のプレビューに記した通りで、7月12日の天皇杯3回戦モンテディオ山形戦はまた違う選択肢があるだろうけど、8日のFC東京戦と16日のセレッソ大阪戦のリーグ戦2試合は今の試合に絡む回数が多いメンバーである程度はやり繰りするだろう。その後は夏のウインドーが開くことで選手編成に変化があるだろうし、すでにいくつかの話は表面化しているようだ。

実際に髙橋をサイドに使うプランは、カンテと合わせてハイプレスを受けた時のボールの受け手を2枚に増やす効果があり、少しセットした後に時間があれば右サイドから酒井宏樹が前に出て行くこともできるので、その時には左右と中央でそれぞれ高さのある預け所を用意できるという意味でも助かるところが見えた。これから夏場で運動量が厳しくなるのは避けられないので、どこで誰がそのストレスを引き受けるかという意味でも髙橋の存在はさらにクローズアップされるかもしれない。

髙橋のサイド起用で強みの出るクロス攻撃

先制点の場面は安居海渡が相手のスローインを「誘っておいて、閉める」という感じの駆け引きでカットしたところから、サイドに開いた大久保智明をポイントにして相手を広げて、伊藤敦樹がアンダーラップ(内側を駆け上がる攻撃参加)で相手のサイドバックの内側に潜り込んでラストパスを送ったものだった。この辺は、「やりたい」と「できる」の間がかなり埋まってきたかなというところで、それこそプレシーズンのキャンプからサイドハーフとサイドバックだけでなく、ボランチやFW、トップ下もこのエリアを積極的に取りにいくという意識づけはしていたが、タイミングや前段階の相手を引き付けるポジション取り、そもそもそこに入っていこうとしない選手がいることなど、機能性が高くない部分が少なからずあった。ここ数試合を見れば、その辺はかなり解決してきたかなという感があり、この中央にラストパスが入るシチュエーションでカンテと髙橋の2枚がペナルティーエリア内で勝負できているのは歓迎すべきことだろう。これがカンテから興梠慎三に置き換わっても同じような効果があるだろう。もっとも、今は関根の調子がかなり良いのでその起用法はまた悩みどころになってくるが、恐らく彼にはトップ下という選択肢もある。

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