浦レポ by 浦和フットボール通信

積み上げたものの成果と、今までになく楽しみなこれからの半年間【轡田哲朗レッズレビュー/ACL決勝第2戦アルヒラル戦】

(Report by 轡田哲朗)

特別なゲームだからこそ、精神的に落ち着いて入れる形で

浦和レッズは5月6日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝の第2戦で、アルヒラル(サウジアラビア)に1-0の勝利。アウェーでの初戦を1-1で終えていたことから、2戦合計2-1で3回目のアジア制覇を達成した。恐らく、今季の浦和が戦うゲームの中で最も内容がどうでもよくて、勝つか負けるかだけにフォーカスするべき試合をものにした。マチェイ・スコルジャ監督の試合後記者会見にもそのようなニュアンスは感じ取れただろう。

スタメンはいわゆる「いつメン」が並んだ。マチェイさんの良い部分の1つが、「策士策に溺れる」に近いニュアンスの入りをしないところにあると思っていて、それが様子見になりがちな試合立ち上がりにちょっと相手にペースを持っていかれる傾向に出てしまうことはあるけれども、いきなり奇抜なことはしないで基本的にはニュートラルに近く入っていく。鮮やかな当たりと清々しいまでの外れを引くことのある勝負師タイプという感はないけれども、ただでさえ特別なゲームなのだから少しでも落ち着きを感じられる要素になるのではないだろうか。

一方のアルヒラルは29番のサレム・アルドサリが初戦のレッドカードで出場停止になっていて、7番のサルマン・アルファラジは負傷欠場だった。その分はウイングの位置に14番のアブドゥラー・アルハムダンが入って、さらに19番のアンドレ・カリージョが出てきた。2019年の決勝を思い返すと、嫌な選手が出てきたなというのは当時を知る浦和を好きな人なら思うことだろうし、実際にゲームの中でも彼には随分と苦しめられた。アルヒラルは4-3-3でスタートして、最後のラッシュは4-2-4のような感じで前に人を集めた。ただ、10人が入れるベンチに8人しかいなかったのは、そもそもチームに外国人選手が多い構成でサウジアラビア人選手が2人いないとそのまま人数が足りなくなるという状況で、大会レギュレーションとの兼ね合いは見えた。

厳しい風下でも崩れなかった4-4-2ブロック

試合のスタートから浦和は自陣に押し込められて窒息した。その要素の1つが強い南風で、埼スタの構造は両ゴール裏の屋根がなく風の通り道になることから、南北方向の風が強い時は風上と風下がハッキリする。この日はメインスタンド側から見て右から左に強い風が吹くコンディションだったので、前半の浦和は風下の厳しい部分を受けた。仮に互角かそれ以上に敵陣へと入り込める力関係だった場合、風下でのプレーというのはそんなに悪いものではないのだけど、自陣で守る時間が長くなると陣地を回復するようなクリアの飛距離が出ないなどデメリットが多くなる。

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