浦レポ by 浦和フットボール通信

順当勝ちができる大切さ すでに持っていた答えと見つかった新要素【轡田哲朗レッズレビュー/J第29節柏戦】

(Report by 轡田哲朗)

メンバー構成に制約がある中での2試合目

浦和レッズは10日にリーグ戦の27試合目、柏レイソルとのホームゲームに4-1で勝利した。プレビューでも記したように、2試合消化が少ない浦和はそのゲームに勝利することを前提にすると柏を勝ち点で逆転できる可能性を持つゲームだったので、良い勝ち点3になった。サッカーは相対的な部分が避けられない対戦型スポーツなので、浦和が良い部分を出したことと柏のそうでない部分が出た結果、差が開いたという面が強く出たとも言えるだろう。

負傷者と新型コロナウイルスに陽性反応を示した選手が複数いることでメンバー構成に制約がある浦和は、アレックス・シャルクを左サイドに張るポジションに置いて、セカンドトップの位置に大久保智明を置いた。メンバー発表の時点での記載順だと大久保が左サイド、シャルクがセカンドトップに入りそうな書かれ方をしていたのでキックオフ時点で少し驚いたが、その機能性が良かったのは試合を見ての通りだった。鹿島アントラーズ戦からの比較だと岩波拓也がメンバーから外れて、江坂任がベンチに戻ってきた。リカルド・ロドリゲス監督は試合後に「江坂は前日練習しかできなかった」と話していたが、この連戦の中ではこのような形で少しずつ選手が戻ってくる状態が生まれるのだろう。

柏は5-3-2からのスタートで、前線はドウグラスと細谷だった。武藤雄樹が得点も重ねているので出てくるかなという予想もあったがここは少し残念で、浦和の視点から言えば少しラッキーだったかもしれない。

すでにチームが持っていた要素を上手くピッチに出した

浦和のビルドアップに対して柏は5-3-2で構えてきたが、呪文のように繰り返されるアンカーの脇問題はストッパーの迎撃でカバーするやり方だった。これはイタリア・セリエAで10年くらい前に大流行した守り方で、私が最もよく見たチームだとアントニオ・コンテ監督がユベントスでアンドレア・ピルロという稀代のゲームメーカーをアンカーに置いて、その両脇をストッパーが迎撃で守る「4.5バック」に近いニュアンスのあるものだった。また、最近のゲームだと先月のジュビロ磐田戦が5-3-2に近いスタートをする相手でゴールラッシュを見せての勝利になっている。大久保が見せた解決策は素晴らしいものではあったが、チームとしては「すでに持っていた答え」という言い方ができるかもしれない。

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