【島崎英純】2023Jリーグ第34節/北海道コンサドーレ札幌vs浦和レッズ・試合レビュー『理性的に、合理的に、勝利を追い求めた者が勝利したゲーム』

©Yuichiro Okinaga

万全の布陣

マチェイ・スコルジャ監督はおそらく、現状のベストメンバーをピッチへ送り出したと思う。すでにリーグタイトル奪還の可能性が途絶え、来季のAFCチャンピオンズリーグ2への出場権を得られる3位以内確保へと目標修正する中で、スコルジャ監督のリーグ戦に対するプライオリティの高さを垣間見た思いだ。個人的にはシーズンを通して優劣を決めるリーグ戦タイトルが最も重要だと思う点で完全に同意するし、だからこそスコルジャ監督はこれまで、その肝心要のリーグタイトルのみならず、多くのタイトルを獲得できた指揮官なのだろう。

GKは西川周作、そしてセンターバックはマリウス・ホイブラーテンとアレクサンダー・ショルツと盤石のディフェンスユニットが形成される中、サイドバックは右に関根貴大、左に明本考浩が配備された。興味深いのは、攻撃特性を兼ね備える二人がサイドバックのディフェンススキルを確実に身に着け始めていることだ。これもスコルジャ監督体制によって導き出された恩恵であり、各選手が新たな能力を発現させている様に有望な未来が見える。

そしてダブルボランチは岩尾憲と伊藤敦樹のセットだった。伊藤の早期復帰は意外だったが、それほどまでに今試合の勝利を欲したことがここからもうかがえる。おそらく伊藤は時間限定で、後半開始から安居海渡にスイッチしたのも事前プランニングだったのだろう。

また、2列目は右から大久保智明、エカニット・パンヤ、小泉佳穂が起用されたが、現状ではこの組み合わせがベストだと筆者も感じた。ホセ・カンテの1トップも当然で、この11人で勝ち点3を得ることを最優先に、浦和は慎重かつ細心に勝利への道筋を追い求めた。

【2023Jリーグ第34節/北海道コンサドーレ札幌vs浦和レッズ・スターティングメンバー】

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