【島崎英純】2023AFCチャンピオンズリーグ・グループステージ第3節/浦和レッズvs浦項スティーラーズ・試合レビュー『韓国の雄に力負け。今後に暗雲が漂う』

©Yuichiro Okinaga

関根途中交代の影響

今季の浦和レッズはまだ、多くのタイトルを追い求めている。Jリーグでは4試合を残しながら首位のヴィッセル神戸と勝ち点8差とぎりぎり食らいついている。またYBCルヴァンカップでは決勝に進出し、11月4日にアビスパ福岡とタイトルマッチを戦う。そして今季から秋春制へ移行したAFCチャンピオンズリーグのグループステージが始まっており、今節の浦和はホームで韓国Kリーグの浦項スティーラーズとの対戦が控えていた。

浦和のマチェイ・スコルジャ監督は過密日程が続く中で各タイトルを戦い抜くための最善策を模索している。今週は週末にJリーグ第31節・鹿島アントラーズ戦というビッグマッチが控える中で、スコルジャ監督はACLグループステージ突破の最大のライバルと目される浦項に対してターンオーバー的な布陣を組んだ。

センターバックの岩波拓也とマリウス・ホイブラーテンのコンビはこれまでも実戦経験があるため、GK西川周作を含めたビルドアップワークにそれほど乱れはないと予測できた。問題は現チームのゲームコンダクターである岩尾憲がベンチスタートとなる中で編成された柴戸海と伊藤敦樹のダブルボランチである。柴戸が後方、伊藤が前方という縦関係が気づかれることが十分考えられた中で、ボックストゥボックス的な働きを果たす伊藤のプレーレベルは担保されるとして、アンカー役の柴戸がカバーリングと局面でのボール奪取という自らの個性を標榜しつつ、如何にゲームを掌握できるか。特に後方と前方、そして中央とサイドを連結させえうリンクマン的役割を果たせるか否かで浦和の攻撃構築に様々な作用を及ぼすと思われた。

また、前線ユニットの機能性もチーム全体のバランスを円滑化させる上で重要な案件だった。今回は負傷明けのブライアン・リンセンが1トップで立ち、右に髙橋利樹、左に小泉佳穂、トップ下に安居海渡という編成だったが、ここで肝になるのがボールの”収まり所”である。これまでの実績から鑑みるに、リンセンのポストワークにはそれほど期待ができない。彼はスペースへのランニングと2人目、もしくは3人目の動き出しからのフィニッシュワークに才があり、いわゆる相手DFと真っ向対峙して局面で圧倒するタイプのFWではない。こうなると、他に”収まり所”の候補となるのは2列目の選手になる。右の髙橋は元々純正のセンターフォワードであり、ヘディングでの空中戦を含めて彼を”的”にするのは一考だ。また地上戦に限れば小泉や安居もテクニカルなスキルが有るため、相手プレッシャーに屈しなければ敵陣でボールレシーブできる余地はある。

しかし、淡い希望はすぐさま霧散した。

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