攻守において凌駕され、正真正銘の完敗【島崎英純】2022YBCルヴァンカップ・プライムステージ準決勝第2戦/浦和レッズvsセレッソ大阪・試合レビュー

©Takehiko Noguchi

急増布陣が裏目に…

 セレッソ大阪は明らかにチームスタイルを変えてきた。これまではミドルゾーンでコンパクトな陣形を築いてラインディフェンスを形成していたが、今回はYBCルヴァンカップ・プライムステージ準決勝第1戦のホームで1-1と引き分けていたことで、明確にチーム全体をプッシュアップさせてアグレッシブな前線プレス&チェイスを敢行してきた。この際、2トップの加藤陸次樹と上門知樹が浦和センターバックの岩波拓也とアレクサンダー・ショルツへ寄せるのは当然として、サイドMFの為田大貴と毎熊晟矢が中央へ絞って包囲網を狭め、そのうえでダブルボランチの奥埜博亮と鈴木徳真がミドルゾーンから強烈に接近してきた。これでC大阪の前線守備人数は6人になる。

これに対して浦和はGK西川周作、両CBの岩波&ショルツ、ダブルボランチの岩尾憲、伊藤敦樹に加えて2トップの一角に入っていた小泉佳穂も自陣方向へ降りてきた。ただ、これではGKの西川を入れても66の数的同数になる。さすがに厳しいと判断した浦和側はサイドバックの関根貴大と明本考浩の何方かが`若干低く構えて76の数的優位を確保した、はずだった。

自陣での数的優位確保はリカルド・ロドリゲス監督体制下での浦和では本来理想の形ではない。特に相手を前方に見据えて後傾での人数確保は狙い所とする相手守備ブロック背後へのパス、いわゆる『パシージョ』を繰り出す余地を失ってしまう。C大阪の前線プレスワークは確かに強烈で厳しかった。しかし今季中盤戦以降の浦和がストロングポイントとしてきた機能性のあるビルドアップを実行するには、各選手の立ち位置を修正する必要があった。

(残り 4919文字/全文: 5703文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2 3
« 次の記事
前の記事 »