2020年型浦和レッズ・4-4-2、各ポジションの役割を徹底分析−サイドバック編−浦和のチーム戦術に『偽サイドバック』の概念はある?
浦和レッズの大槻毅監督が今季から採用している4-4-2は非常に興味深いシステムだ。4バック、4MF、2トップの各ユニットが連なる並びはオーソドックスだが、各ポジションの役割には現代サッカーのトレンドを踏襲する部分が垣間見れるし、ある一面では大槻監督独自のメソッドも見え隠れする。そこで今回は、各ポジション毎にその果たすべき役割やシステム上の戦術メカニズム、求められる選手の能力などを詳細に分析したいと思う。
今回はサイドバックについて。
“偽サイドバック”の狙い
2020年型浦和レッズのサイドバックは果たして”偽サイドバック”の役割を課せられているのか。この考察は興味深いものだ。
ピッチを縦方向に5分割したエリアを『レーン』と称し、縦に並ぶ各ポジションの選手を、そのレーン毎に振り分ける。これによって相手マーカーの監視を外すと共に、味方とのパスワークを円滑化するための角度付けを行う。4-4-2の4バック左右に位置するサイドバックがピッチ中央方向へポジションシフトしてビルドアップに参加したり、サイドライン際で縦関係になりがちな味方サイドMFと良好なコンビネーションを図る手段として、この『レーン分け』は現代のサッカーシーンで重要視されつつある。
”偽サイドバック”の概念は2013シーズンから2016シーズンの間にドイツ・ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンを率いたジョゼップ・グアルディオラ監督(現・マンチェスター・シティ)が考案したシステムと言われている。特に左サイドバックのダヴィド・アラバ(バイエルン/オーストリア代表)が果たした役割は大きく、彼のインサイドワークによって当時左ウイングのフランク・リベリー(フィオレンティーナ/元フランス代表)がサイドでのアイソレーション(1対1)を得て躍動し、それに連動してインサイドハーフのトニ・クロース(レアル・マドリー/ドイツ代表)らのプレーエリアも拡大された。
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