【無料掲載】2016Jリーグ2ndステージ第4節・大宮アルディージャ戦[ミハイロ・ペトロヴィッチ監督][監督コメント]

○ミハイロ・ペトロヴィッチ監督
1週間で3試合目の連戦最後の試合でしたが、厳しい気候のなか、選手たちは非常にいいプレーをしてくれましたし、非常にいいゲームだったと思います。前半は我々がFKから1点取ってリードし、前半アディショナルタイムにCKから失点してしまう展開のなかで、1-1で折り返しました。後半は我々がボールを持って主導権を握りながら仕掛ける展開でした。

後半に入って、試合が若干オープンな展開になってしまった印象があります。相手の方が少しフレッシュだったかなと思いますし、そのなかで我々の選手たちの方が疲れが見えたかなと思います。ただ、そのなかでも選手たちはしっかりチャンスを作っていましたし、得点になってもおかしくないシーンもありました。そのなかで2-1とリードしました。

リードした展開のなかで、2-2に追いつかれる前に我々にとってどうかなというシーンがありました。今日の家本レフェリーは前節、神戸とマリノスのゲームを吹いていましたが、似たようなシーンでPKを取っていました。もちろん、私はあのシーンが絶対にPKだとは思っていませんが、宇賀神がペナルティエリアで倒れていた流れのなかで比較的早くインプレーになった、そのなかで宇賀神選手が本来いるべきスペースを使われて失点につながってしまいました。

その後も勝利すべく選手たちはがんばってチャンスをクリエイトしてくれたと思います。柏木選手、ズラタン選手のヘディングシュートや、それ以外にも武藤がフリーでスペースに抜けて少しゴールの枠を外したシュートだったり、得点してもおかしくないシーンもありましたが、残念ながら得点には至らず、引き分けという結果で終わってしまいました。非常にいいゲームをしましたが、結果に関しては満足していません。今日は絶対に勝利したかったゲームだったです。

今日はたくさんのサポーターがスタジアムに駆けつけ、ダービーという雰囲気を作ってくれました。そのなかでどうしても勝利したかったゲームでしたが、引き分けで終わってしまったことは申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、選手たちが最後まで力を振り絞って戦ってくれたことは、サポーターの方も見ることができたと思います。引き分けという結果は変えられないので、前を向いて次の試合に向けて準備していきたいです。

Q 今日は川崎と横浜FM、そして年間順位で浦和より上にいる鹿島も引き分けたが、日程や暑さと関係があると考えるか?

一つ目の理由として挙げられることは、どのチームがどの対戦相手と戦っても、決して簡単な相手はないということです。ユーロが終わりましたが、アイルランドがイングランドに勝つようなことが起こるのが今のサッカーです。20年前であれば、日本はおそらくアフガニスタンに大量得点で勝利するくらいのレベル差があったと思います。ただ、今はそういった相手に対してもしっかり戦わなければ、結果はついてこない状況です。世界中、どこの国もサッカーを進歩させ、組織立ったプレーをしてくる。特にJリーグは各チームの力が拮抗していますし、どのチームもしっかりと訓練して、戦術を練って戦ってきます。だからこそ、簡単にならないし、そのことは今日の結果が表していると思います。

2つ目の理由は連戦でこの気候のなかで戦うことは、勝ちを求められたり、よりリスクを負って攻撃を仕掛けなければいけないチームにとっては難しい状況にあるのは確かです。相手の攻撃を構えて、守備的に戦うなかでワンチャンスやセットプレーで勝利するような狙いを持っているチームの方が、より戦いやすいとのは確かです。私が思うのは、世界中のどのチームもレベルが拮抗してきていると今日の結果を見て改めて感じました。

日本リーグはレベルの拮抗した選手がプレーするリーグであると。日本の育成機関のなかで育った選手は平均値を上げました。大宮と浦和の選手でレベルに大きな違いがあるかと言ったら、そこまで大きな違いがあるとは私は思いません。大学生でも同じ学校でプレーした選手がそれぞれ違うチームでプロになっていくなかで、その時は同じくらいのレベルだと思いますが、プロになっていくなかでもちろん少しずつレベルの差が出てきますが、たとえば宇賀神選手は流経大でプレーしていましたけど、同じ大学で逆サイドは、ノリとしか覚えていませんが(石川大徳選手)、彼は広島の後に仙台に移籍して……。何が言いたいかと言えば、日本は育成で非常にいい指導をされていくなかで平均値を上げたと思います。同じようなタイプの選手がある程度のレベルに育ちます。そういう意味では、各チームの力が拮抗しているのは十分に理解できると思います。

Q 柏戦後、監督は後ろでボールを動かせなかったと発言したが、そこは今日の試合で改善されたか?

5連勝していましたが、ここ最近のゲームを見ると、鹿島、ガンバ、広島に3連敗したときの方が狙いとするものを出せていたと思います。連勝していた試合では、私は特に攻撃の組み立ての部分では満足していませんでした。選手たちがつなぐ意図を持って相手にプレッシャーをかけられて蹴っているのならば理解できます。ただ、最初からつなぐ意図を持たずに蹴っているのであれば、あるいは後ろからつなぐことを恐れているのであれば、それは違うと思います。我々は後ろからつないで攻撃を仕掛けることに強さを発揮できるチームです。今日に関して言えば、前節や前々節に比べて後ろから組み立てる意図を感じましたし、プレーに関しても少しベターだったと思います。

Q 今日の関根選手のドリブル勝負はよかったと思うが、心理面の変化があったのか?

前半はよくなかったと見ています。ハーフタイムにサイドのドリブルで仕掛けることの改善を求めました。今週、ミーティングのなかで、ユーロでのドイツ対フランスの映像を選手たちに見せました。そのなかで、ドイツの右サイドのキミッヒ選手が1対1の仕掛けのところでクロスで引っかかっていて、効果的にサイドからの攻撃で相手を剥がすことができていませんでした。

世界のトップクラスのチームを見ても分かるとおり、サイドでは1対1で抜き去れる選手が重宝されています。ドイツ対フランスの戦いで見えたことは、フランスは真ん中をしっかりと固めて、サイドは比較的割り切った形で守っていた。真ん中を固めておけば問題ないという形の守備をしていました。

今のサッカーは相手がしっかりと組織立って守備をしてきますし、局面的に1対1を作る状況は攻撃を仕掛けて得点を狙うチームにとって重要な局面となります。ここ最近の我々のゲームを見てもわかるとおり、サイドからの仕掛けやクロスの質は多くのシチュエーションでうまくいっていなかったと思います。ただ、今日に関して言えば、後半の関根は1対1の仕掛けからのクロスでいい仕事をしてくれました。実際に彼の仕掛けからクロスが上がり、武藤のヘディングシュートが決まりました。サイドからの1対1の仕掛けはモダンサッカーで必要なものです。

サイドにそういった選手がいれば、相手はサイドをしっかりケアしなければいけません。局面で止められなければ2対1の状態を作らなければいけません。まだフレッシュな状態のうちは2対1で対応できるかもしれませんが、ただ、2対1を作るということは、カバーに来る選手はより走らなければいけない。時間の経過とともに、だんだんカバーへ行けなくなってきて、1対1の仕掛けのなかで剥がしていけます。相手がサイドをケアすれば、より真ん中があいてきて、真ん中のコンビネーションから得点しやすくなるでしょう。そういった意味でも、サイドをうまく剥がしていくことは攻撃をするなかで非常に重要なポイントです。関根選手はサイドからの攻撃で後半はとてもいいプレーを見せてくれました。

もちろん駒井もドリブルで相手を抜き去る能力を持った選手です。ただ、彼は昨年までJ2でプレーしていた選手で、J1のレベルのなかで1対1の場面で必ず相手を抜いていくような場面を作れるまでにはまだ至っていませんが、そういう能力を持った選手です。

高木も同様に能力のある選手ですので、今後、彼のプレーにも期待したいです。ドイツ対フランスをどのように分析するかはそれぞれ見方があると思いますが、私はそのように見ましたし、みなさんも一度ご覧になって、自分なりの考えを持たれても悪くないでしょう。コスタとロッベンがもしドイツ代表でプレーしていたら、おそらく5ー0で勝っていたでしょう。

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