起用に応えた永田、的確だった指揮官の戦略変更【島崎英純 2016ACLグループリーグ第1節・シドニーFC戦レビュー】
■注目していたリベロの人選
浦和レッズの2016シーズン公式戦初戦は2013シーズン、2015シーズンと同じく、アジア・チャンピオンズリーグのグループリーグとなった。ただし過去2回はいずれも海外アウェーが始まりだった。一方で今季はホーム・埼玉スタジアムでの開幕で、チームは本拠でしっかりとトレーニングを積んで本番に臨めた。
浦和側で個人的に注目していたのはリベロの人選だった。鹿児島キャンプでのトレーニングマッチでは槙野智章がセンターを務めることが多く、昨季までレギュラーだった那須大亮はコンディション調整などの別メニューを強いられた事情もあって控え組のリベロ、もしくはボランチでの起用が多かった。他、槙野以外にリベロで試されていたのは永田充、新戦力のブランコ・イリッチらだったが、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督はこの大事な初戦で永田の先発起用を決断した。
永田はここ数シーズン、万全の状態を保てず、試合勘の欠如などもあって起用時に致命的なミスを犯すシーンが散見された。また、90分を通して戦えずに足を攣らせたり、肉離れを発症するなど、本人も自覚するコンディション不良に悩まされてもいた。しかしこの日の彼は本来のストロングポイントを発揮してチームの勝利に貢献した。シドニーFCのチームスタイルはオージーチーム特有のパワープレーとスピードを駆使したカウンターだが、永田は相手の最前線起点を厳しくマークして自由を奪い、果敢なインターセプトで相手パスを奪取するなどして相手を封殺し、最後尾からのビルドアップで攻撃起点をも担ってチーム戦術を促進させた。
また、ペトロヴィッチ監督は永田以外にも対シドニーFC戦用と思われる選手起用を施している。
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