無料記事:浦和レッズ・鹿児島キャンプレポート第11日(2016/2/10)

変則ゲーム形式の練習を行う

浦和レッズは鹿児島キャンプ11日目の今日、鹿児島県指宿市の指宿いわさきホテル内サッカー場で午前午後の2部練習を実施した。

本日の鹿児島県指宿地方は、浦和が1月31日からキャンプを張って以降で最も暖かく、気温は18度まで上がり、風もなく晴天が続く好条件だった。

チームは昨日、今キャンプ初となる完全オフ日が設けられ、選手たちは各々自由に過ごしてリフレッシュして体調を整え、本日の練習に臨んだ。その影響からか、選手たちの動きはオフ前に比べて軽快で、表情も明るかった。

まず、9時30分から開始された午前練習はオフ明けの身体を再び目覚めさせるために野崎信行トレーナー主導によるフィジカル、サーキットメニューが組まれた。目印を置いて小刻みにステップを踏む動作やバランスボールを使用したストレッチ・ワーク等など。コンディション調整で別メニューの加賀健一を除く選手がそれに取り組み、最後はシャトルランを行って約1時間のトレーニングを締めた。

そして、15時40分から開始された午後練習ではお馴染みの鳥かご、パスワークの後、今日は縦幅約90メートル、横幅約70メートルのスペースで戦術練習を幹としたゲーム(GKを入れて12対12の変則ゲーム)が実施された(午後練習も加賀のみ別メニュー調整)。

チームの組み分けは以下の通りだ。

Aチームは伊藤涼太郎がトップ下に入る3ー4ー4(フィールドプレーヤーが11人のため)のような形、Bチームは駒井善成が右サイドバックに入って4ー4ー3(同様)のようなシステムが組まれた(Bチームは途中から駒野がトップ下に入って、Aチームと同じ布陣となった)。

ペトロヴィッチ監督はまず、バックラインとダブルボランチの5人に自陣でのビルドアップとタイミング良く前線へ縦パスを供給することを指示した。そして縦パスを入れた瞬間にバックラインを押し上げて前線との距離を縮めることも課した。また、そこから前線トライアングルと両サイドアタッカーの5人が攻撃を開始するわけだが、後方の5人の選手のいずれかが敵陣へ入り込み、総計6人で攻め切ることも指示している。この意図は、攻撃では少なくとも6人の人数を掛けて攻めるという約束事を設ける点にあるのではないか。ここからは攻撃に人数を割くペトロヴィッチ監督の攻撃的な精神が汲み取られ、その意識付けのために何度もプレーを反復する行為が見られた。

興味深い光景が見られた

また、約20分の1セットが終了すると、今度は前線トライアングルがバックライン、バックラインが前線トライアングルといったように、攻守の役割を交代させて同じメニューが組まれた。面白かったのは、普段前線で張っている興梠慎三が最後尾でビルドアップし、最前線に槙野智章が鎮座するようなシチュエーションが見られたことだ。あるシーンではズラタン、興梠、武藤雄樹らのビルドアップが上手く行かずに全く縦パスが入らず、思わず槙野から「慎三! 前をよく見よう!」と声が掛かり、興梠が「はい!」と返事することがあった。普段は逆の立場でボールを受ける興梠がビルドアップに苦慮する。ペトロヴィッチ監督はこの練習によって、各選手に様々なポジションの役割、意図、プレー傾向を把握させようとしているのではないだろうか。興梠からすれば、常に最前線でボールを受ける立場として、ビルドアップする側がFWにどのような動き出しをしてもらいたいのかを身を持って体験する。そして自らのプレーに生かす。その意味では、今日の練習では中々興味深い光景が見られた。

 

また、この戦術ゲームには一昨日チームに合流した遠藤航も参加し、全メニューをこなした。この日遠藤に任されたポジションはボランチで、スムーズなパス交換、攻撃参加、バックラインとの守備連係など、すぐにチーム戦術に順応しているところを見せた。ただ遠藤が今後任されるポジションは依然流動的だと考えられる。ユーティリティ性の高い遠藤にはボランチ以外にもストッパー、リベロなど、守備的な役割を与えられる可能性もあり、今後も観察が必要だ。

この戦術ゲームは4セット実施し、17時40分ごろに終了。約2時間という長丁場だったが、オフ明けの選手たちの動きは鋭く、身の入った練習が行えたように見えた。

浦和は明日も午前午後の2部練習を実施し、12日のV・ファーレン長崎とのトレーニングマッチへ向けた訓練が行われる予定だ。

(了)

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