パフォーマンスは悪くないが、試合運びは再考の余地あり【島崎英純】2015Jリーグ2ndステージ第4節・名古屋戦レビュー(2015/7/26)

序盤から名古屋を圧倒

浦和レッズは前節のサンフレッチェ広島戦と同様に序盤から積極的な攻撃を仕掛けた。1トップ・興梠慎三、シャドー・武藤雄樹&高木俊幸のコンビネーションは流麗で、後方から入る縦パスも頻繁で精度も高かった。浦和は2ndステージに入ってから第1節・松本山雅戦、第2節・モンテディオ山形戦の試合内容が低調だった。浦和はその反省を踏まえて気を引き締め、アグレッシブなアタックを繰り出す意欲を露わにした。その結果、広島戦、そして今回の名古屋戦は前半に相手を圧倒する内容を示している。

8分、阿部勇樹から武藤へ縦パスが入り、武藤がゴールを狙うも相手GK楢崎正剛のセーブに遭う。この時の阿部の縦パススピードは速く、正確だった。また13分には森脇良太の対角フィードをファーサイドで待ち受けた武藤がボレーで狙うも、こちらも楢崎に防がれた。この時の森脇のフィードボールも恐ろしく速く精密だった。

そして19分、那須大亮の縦パスを受けた高木が間髪入れずに柏木陽介へスルーパスを通し、ゴールライン深くまで抉った上で放った柏木の左足シュートがDF牟田雄祐に当たりオウンゴールとなった。高木のダイレクトフリックに対してボランチの柏木が裏抜けする。縦のポジションチェンジはお互い3−4−2−1の同システムを採用するミラーゲームで効果的なことを、柏木自身が十分理解した上での好判断だった。

ここまでは浦和が圧倒する内容で、このまま行けば浦和が追加点を挙げるのも時間の問題かと思われた。それだけ名古屋は態勢を整えられなかったし、今後の攻略ビジョンも描けなかったはずだ。しかし相手には、その閉塞状態を打ち破る絶対的な個人が居た。

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