【島崎英純】2014シーズン・選手総括─槙野智章(2015/01/10)

DF 5 槙野智章
2014シーズン採点 6.5
リーグ戦 31試合4得点
ヤマザキナビスコカップ 7試合2得点
天皇杯 1試合0得点
ベストゲーム Jリーグ第16節・徳島ヴォルティス戦

意識の変化

2014シーズンの槙野智章は新境地を開拓したと思う。それはチーム全体に波及した強烈な守備意識の発露だ。浦和レッズは2013シーズンの守備崩壊を鑑み、監督以下選手は明確な守備改善を目論んだが、中でもその思いを強くしプレーに反映させたのが槙野だった。

2014シーズンの公式戦初戦となったJリーグ第1節・ガンバ大阪戦は象徴的なゲーム内容だった。チーム全体の重心を後ろ向きにした浦和はG大阪の攻撃を冷静に封じ、セットプレーから決めた槙野のゴールを死守して1─0で勝利を果たした。この後浦和は無失点勝利を数多く挙げるが、その骨子にはチームの共通理解である守備への傾倒がある。そして、最もその意思を体現していた選手が槙野だった。

本来の槙野の代名詞は後方から自らボール保持して突進するオーバーラップだ。対戦相手はストッパーの槙野をマークしずらく、そのギャップを突いて主に左サイドから侵入する彼の攻め上がりは非常に効果的だった。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は槙野のオーバーラップを促進させるために同サイドのMFに宇賀神友弥を抜擢し、宇賀神もまた、槙野との連係で左サイドの攻撃を活性化させた。いつしか対戦相手は浦和の左サイドを脅威とみなして警戒するようになる。

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