【FUKUDA’S EYE】J1第12節・鹿島アントラーズ戦プレビュー(2011/5/20)

今季、鹿島の戦いぶりについて

鹿島が不調の原因には、ひとつは、やるべきことがやれていない、動けていないというところにあるのではないだろうか。もう一つは、マルキーニョスがチームを離れたことが大きい。去年連覇を逃したという結果も、彼がケガでいなかったことが影響したと思う。鹿島の強みであるカウンターは、彼がいたからこそ精度を保てていた部分があるし、攻守両面においてマルキーニョスの存在は、チーム全体に勢いをもたらしていた。チームというのは、ちょっとしたことからバランスを崩したりする。それまでは起点が出来て前を向けてチャンスになっていたところで前を向けずに、取られて攻められる、ということになると、流れが大きく変わってくる。今の鹿島はそこを埋め切れていないように感じる。川崎戦でもリスタートの場面から失点を喫していたように、試合巧者の鹿島としては、らしくない試合をしていた。我慢して耐えていればワンチャンスを物にしてくれる、という選手がいなくなったことで、堅守と言われていたところも上手くいかなくなっている。

去年までは、興梠とマルキーニョスが常にラインの裏を狙う動きを行っていて、非常に怖さがあった。しかし興梠だけでは、相手に対して脅威を与えられていない。それが要因となり、相手に脅威を与えられないから、結果として押し込めなくなって、全体的に鹿島が上手くいっていないひとつの要因になっていると思う。新しく加入したカルロンはタイプも違うし、まだフィットしておらず、現状はそこまでの脅威を与えられる選手ではない。マルキーニョスのような役割ではないので、戦い方も変えざるを得なかったと思うけど、そこがまだチームと合致していないと思う。それは鹿島にとって誤算だったのではないだろうか。鹿島は震災の影響で、未だホームのカシマスタジアムを使えていないし、アウェイでの試合が次から次へとやってくる。そんな状況下でチーム全体のやり方を変えきれていない。試行錯誤していて苦しい状況にあるのではないかと思う。

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