【レビュー】J2第10節千葉0-1水戸@Ksスタ-「何が強みなのか分からない」(文・西部謙司)2016/4/30
明治安田生命J2リーグ 第10節
ジェフユナイテッド市原・千葉 0-1 水戸ホーリーホック
http://jefunited.co.jp/top/matches/2016/0429/result/
●いいところなしの連敗
いろいろな意味で厳しい負けです。5分にCKから先制され、そのまま、これといった決定機も作れずの0-1は、前節の4失点負け[レノファ山口FC戦/2●4]よりもショック大ですわ。完敗ではありませんし、水戸に圧倒されたわけでもない。しかし、90分間ろくにチャンスも作れない試合は、今までなかったと思いますし、それ以上に選手起用を変えた結果がこれなので、チーム内の雰囲気もちょっと微妙なものになる気かもしれません。立て直しの時間もあまりないですから、下手するとガタガタ行く危険のある負け方です。
まず、先発に変更がありました。アランダが前節で負傷、本来なら佐藤勇人なのですが、前節でスティーブン・ジェラードばりのスリップで山口に勝ち越し点を献上したこともあったのか、井出遥也が抜擢されました。また、多々良敦斗に代えて右サイドバック(SB)に大久保裕樹が初出場。さらに、船山貴之を外してエウトン。交代の1枚目が長澤和輝→北爪健吾だったことも含め、起用方法に変化があった。あえて、これまでのパターンを崩してみたのですが、それがうまく行った印象はなく、むしろ自壊した感じですからね。
エウトン | 吉田眞紀人 | |||||
長澤和輝 | 町田也真人 | |||||
富澤清太郎 | 井出遥也 | |||||
阿部翔平 | 近藤直也 | イジュヨン | 大久保裕樹 | |||
佐藤優也 |
●守るのか攻めるのか?
前半5分の失点は、水戸の最初の攻め込みをクリアした後のCKからでした。ニアへ巻いてきたボールはフリーでいた宋株熏がGK佐藤優也に競り勝ってヘディングでゴール。GKとしては、やられてはいけない失点だったのではないでしょうか。前節もそうでしたが、どうも全体的に試合の入り方がよろしくない。その後も球際で激しく当たる水戸に押されます。
前半の千葉のシュートは大久保のクロスをエウトンが合わせたのと、FKから大久保のヘディング、あとはDFに当たったエウトンのシュートと3本だけ。崩して決定的な形にした攻撃は皆無でした。パスはそこそこ回っているものの全く崩せず。そもそも守りたいのか攻めたいのか、よく分からない立ち上がりでしたね。結局、それが入り方の悪さにつながり、現在のチーム状況の根っこにあるような気がしますが、その点は後述します。
ボランチに入った井出はよくやっていたと思います。サイドハーフ(SH)の町田也真人も落ち着いたパスをさばいていました。ただ、長澤の調子が上がらないのと、2トップは全くといっていいほどボールを収められない。チャンスメイクで最も頼りになる井出のプレーゾーンが低いことも決定機が作れなかった一因でしょう。
●何も起こらなかった後半
58分、千葉の最初の交代は長澤→北爪。不調の長澤に見切りをつけたのは納得ですが、SHに小池純輝でなく北爪を起用したのはやや驚きでした。SHとしての北爪の起用はこれまでもありましたが、もっと遅いタイミングでしたからね。62分にはエウトン→船山、そして71分に早くも3枚目を切ります(大久保→オナイウ阿道)。大久保のいた右SBには北爪が下がり、右SHには吉田眞紀人とポジションを動かしました。
町田のロングクロスからイジュヨンのヘディングシュートと、井出のクロスを吉田が折り返して船山が突っ込んだシーン、チャンスはこれぐらいでしょうか。いずれも決定機とまでは行かず、むしろ富澤清太郎のドライブをかけたロングシュートが一番惜しかったかもしれません。水戸が引いているので、攻め込むことはできるのですが崩せないのは前半とほぼ変わらず。何も起こせないまま0-1で試合終了です。
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