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【トピックス】エンタメ重視のアメリカ型を理想に。27年7月開業予定でモンテ新スタジアム建設決定!

モンテディオ山形が計画している新スタジアムの建設が決定した。
10月6日に行われた新スタジアム推進に関する記者会見上でモンテディオ山形相田健太郎代表取締役社長が明らかにしたもの。
山形県総合運動公園特設駐車場内に15,000人規模(20,000人まで拡張可能)のサッカー球技場を建設する計画で、建設費用は100億円から125億円ほどを見積もっている。
今後、事業者の選定や基本設計などを経て、2025年4月に着工し、2027年5月に完成、同7月から開業予定としている。
会見では、相田社長から新スタジアムのコンセプトや目指すイメージ、今後のスケジュールなどが説明された。

新しいスタジアムのコンセプトは「山形を繋ぐ」。スタジアムを都市のハブとして機能させた上で、物や事、人を繋げて発信させる構想があり、各種イベントの開催による地域の賑わい創出や、ホテル、商業施設、レジャー施設などを併設することで、試合日以外でも多くの人が来場するような環境を目指している。

ヨーロッパやアメリカのスタジアムを視察した相田社長によると、「お子様やファミリー層が楽しんでいただけるスタジアムをいろいろ考えていくと、エンターテイメントとして色々なものを提供しているアメリカのサッカースタジアムを模倣した方がいい」と、商業施設を誘致するだけでなく、よりエンタメ性を重視したアメリカ型のスタジアムを目指しているという。

スタジアムの形状については、今回デザイン案やイメージ図などの公表はなかった。
全天候型ではないが、クラブライセンスに対応するため全席が屋根で覆われる見込みで、芝生養生のための風通しや日照も考慮して、南側に座席を設けない、もしくは高さを低くするようなU字型のスタジアムも検討しているという。

これはアメリカのカリフォルニア州サンノゼにあるPayPalスタジアムを参考にしている。3方向のスタンドで15,000席を確保した上で、1箇所を催事などが行えるスペースとして利用。座席を増やす場合はここに新しくスタンドを建設するという案だ。

他にも、アメリカミネソタ州にあるアリアンツフィールドを参考に、降雪や風雨を防ぐ被膜のような設備やスタジアムの屋根部分に設置するヒーター設備、ピッチの地温コントロールで芝の質を保つ設備など、観戦環境にも配慮したいとしている。

日本では、北海道北広島市のエスコンフィールドがある北海道ボールパークFビレッジも理想としていて、「ただスタジアムの箱を作りたいということではない。住居、ホテル、商業施設、レストラン、温浴施設等々のレジャー施設を作ることによって、日常を作っていきたい」とした。

また、ラグビーなどでの使用も考慮して球技場にするだけでなく、スタジアムライブ開催も視野に入れて、映像や音響などの演出面にも力を入れたいと相田社長は話している。
実現すれば、サッカー観戦だけでなく、様々な目的で多くの人々が足を運ぶ場所になっていくことだろう。

2022年3月に建設候補地を決定して以降、相田社長は事業計画の作成だけでなく、水面下で自治体などとの調整に動いていたようで、新スタジアム建設に向かう方向性を一致させたところで今回の会見を行った。

これまで、話こそ進んでいたものの、本当にスタジアムが建つのかどうかははっきりとしていなかった。しかし今回の会見では、そういった調整が終わったこともあるのか、相田社長が「スタジアムは造ります。ここまで話しておいてやりませんということはない」と建設を明言した。
今後、建設事業主体や建設費用の分担をどうするか、付帯施設へ参入する企業の選定、スタジアムの設計など、決めるべきことは多くあるものの、新しいスタジアムの建設自体は決まったと見ていいだろう。

2013年に当時の市川昭男山形市長が発表した新スタジアム建設計画から10年。建設場所の選定で山形市と天童市の誘致合戦が繰り広げた末に計画自体が一時凍結されるような危機もあった。
その後、2015年にモンテディオ山形髙橋節社長を中心とした「新スタジアム構想検討委員会」を設立し、そこから長い期間をかけ、多くの段階を経て小さな種を地道に育て続けた末に、ようやく山形にも新しいスタジアムが建つことが決まった。

サポーターの誰もが待ち望んだ新しいスタジアムの夢はこれからどんどん形になっていくはずだ。

文・写真 嶋守生

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