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【トピックス】新スタジアムへまた一歩前進。「新スタジアム推進事業体設立検討委員会」設立へ

会見で質疑応答に答える森谷俊雄社長(写真右)と横内取締役(写真左)。会見は40分ほど行われた。

モンテディオ山形の新スタジアム構想がまた一歩前進した。
11月18日、モンテディオ山形は「新スタジアム推進事業体設立検討委員会」を設置すると発表。同日にNDソフトスタジアム山形内にて森谷俊雄社長と新スタジアム推進室室長の横内崇取締役が記者会見を開いて委員会設置の目的について説明し、新スタジアム議論をより積極的に推進するための新しい推進事業体の設立準備にとりかかることになった。

新スタジアムに関する議論は、今年2月に設置されたスタジアム推進室内や、その後取締役会内に置かれた作業部会内で行われてきた。しかし今後の議論をさらに発展させるためには、スタジアム建設や運営を目的とした推進事業体の設立が必要という結論に至っている。
今回設立される委員会は、この推進事業体を設立させることが目的の組織で、活動期間などの詳細は11月30日の第一回目の委員会で決められることになる。

委員会のメンバーは、民間からは山形新聞代表取締役社長の寒河江浩二氏や株式会社でん六代表取締役社長鈴木隆一氏など7名、県からはオブザーバーとして山形県企画振興部長の高橋広樹氏が参加し、モンテディオ山形からは今回の会見に出席した森谷社長と横内取締役が加わるなど計12名で構成される。県内でも影響力のある関係者が顔を揃えており、さらにステップアップした議論ができる場を作る狙いを持っている。

横内取締役は設立を目指す推進事業体について、「ガンバ大阪にはスタジアムを建設する協議会(スタジアム建設募金団体)がありました。サンフレッチェ広島では広島県や広島市が想定しているのはSPCという特定目的会社を立ち上げ、そこが推進事業体になるという想定です」と他クラブの事例を挙げ、山形のスタジアム議論におけるこれらの団体と同等のものになると説明。「今回の設立検討委員会は、スタジアムを推進していく事業体がどのようなものがふさわしいかを議論していく場」と位置付けている。

さらに横内取締役は「利益を生み出すプロフィットセンターとしてのスタジアムは、サッカーのみならず多様な機能が必要で、コンパクトシティにおける街づくりの中心的なインフラになることも求められる」と、スタジアムビジネスとして成り立つロールモデルを模索するためにも、事業主体の必要性を訴えている。

推進事業体ではスタジアムを推進する先端としての目的だけでなく、収支を含めた事業計画やどうやって会社が収益を上げるかのビジネスモデル構築など、スタジアム建設に関する基本計画を作ることになる。「基本計画を作る過程で場所や時期も描いていくことになる」(森谷社長)と、サポーターや県民の注目度が高い建設場所や具体的な時期などの議論もこの推進事業体内で進められるようだ。
この新スタジアム推進事業体が設立されれば、モンテディオ山形の新スタジアム議論がさらに発展する可能性は高い。

一方で、今回の話を経ても肝心の「新スタジアムを建設する」ことについてはまだ正式に決定されていない。スタジアム建設における出資者側の一番の懸念は「スタジアムを建てて本当にやっていけるのか」という部分。これまでの構想書作成や今回の事業体設立に向けた動きは、そういったお金を出す側の懸念を少しでも払拭させるための地盤固めと言えるものだ。
構想書を作ってスタジアムのイメージを固め、推進事業体という器を作り、少しでも明確なビジネスプランや魅力あるスタジアム機能といった話をある程度具体化させておけば、いざという時にスタジアムのイメージはしやすくなり、判子も押しやすいというものなのだろう。

スタジアム推進室の設立から9ヶ月。ここまで表立った情報は出てこなかったが、「情報が出ていなかったわけではなくて、あまり進んでいなかった」と横内取締役も鈍い進捗に苦しさを滲ませている。

山形県という地域の性質を考えれば、ガンバ大阪の吹田スタジアムのように民間主体団体が寄付金を募りながらスタジアムを建てることは現実的ではなく、山形県が公設公営でやると言えば話はもっと早かったが、これまでもその話は出ていないため公設公営も簡単にはいかない。
「官民が連携したスタジアムの構想を実現させたい」(横内取締役)という、スタジアム構想書や国が推奨している利益を生み出すプロフィットセンターとしてのスタジアムを目指すことが現実的で、そのための様々な内部調整も必要なものだ。

自分も含めて、とにかく時間がかかっていてやきもきしているサポーターも多いが、こういった地盤固めを疎かにしてしまうと一気に頓挫しかねない、慎重さも求められる案件であることは頭に入れておきたい。

新スタジアムについては遅々として進まないように見えるが、一歩一歩進みながら、着実に足元を固めている。

新スタジアム推進事業体設立検討委員会委員予定者等一覧(五十音順)
○委員
<報道・金融・経済関係>
小野木 覺 山形県商工会連合会会長(株式会社大商金山牧場会長)
寒河江 浩二 山形県経営者協会会長(株式会社山形新聞社代表取締役社長)
鈴木 隆一 山形県経済同友会代表幹事(株式会社でん六代表取締役社長)
清野 伸昭 山形県商工会議所連合会会長(山形パナソニック株式会社表取締役会長)
長谷川 吉茂  山形県銀行協会会長(株式会社山形銀行頭取)
松田 智幸 アビームコンサルティング株式会社執行役員
吉村 和文 株式会社ダイバーシティメディア代表取締役社長
<スポーツ関係>
武田 浩一   公益社団法人山形県体育協会理事長
山本 益生 特定非営利活動法人山形県サッカー協会会長(鶴岡市副市長)
<モンテディオ山形>
森谷 俊雄  株式会社モンテディオ山形代表取締役社長
横内 崇 株式会社モンテディオ山形取締役新スタジアム推進室長
○オブザーバー
高橋 広樹  山形県企画振興部長

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