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【円コラム】田んぼとともに

今年初めに、引っ越しをした。旧住所から現住所まで直線距離で300メートルほどなので、町名は変わったものの、地球の広さを思えばほとんど引っ越していないと言っても過言ではない。

それでも変化はさまざまあるのだが、道路を挟んで目の前に田んぼがあるのは大きな変化と言っていい。その昔、通学路沿いに田んぼがあり、毎日のように丈が伸びる稲を意識しながら学校に通った思い出がある。ただし、当時はいちいち観察するゆとりはない。あっという間に伸び、あっという間に刈られていた印象しか残っていない。

それが今度は、住んでいる場所の目の前に田んぼがある。引っ越した当時は雑草まじりの土だったが、草が刈られ、土が耕され、水が張られ、苗が植えられた。その作業の一部始終を観ていたわけではないが、視覚的な変化は新鮮だった。

そして、稲がスクスクと伸びていった。よその人の田んぼなのに、毎日のように稲をまじまじと観察した。いったい、どのように伸びていくのかと。水面からちょこんと顔を出していた淡い緑色の尖った葉は、葉の数を増やしながら伸びていき、張られた水がもう見えないぐらいに緑色の葉でいっぱいになった。

そして、ふと気づく。で、「穂」はどこだ?

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