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【トピックス】「仲嶋翔太の決勝ゴールで 雨中のユースみちのくダービーを制す!」

高円宮杯U-18サッカーリーグ2017プリンスリーグ東北第7節

5月13日(土) 天候:雨
11:00キックオフ 場所:白鷹町 山形県フットボールセンター東陽グランド
モンテディオ山形 1-0(前半0-0) ベガルタ仙台ユース
[得点者]
64分 仲嶋翔太
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豊富な運動量とキレのあるドリブルで左サイドを制圧し、何度も突破口を切り開いた川俣大。守備も献身的で横の動きも多かった。

2017年東北プリンスリーグは4月に開幕してから7節を消化。「自分達は優勝しか見ていない」(GK高山颯斗)というモンテディオ山形ユースは、開幕から2戦ドローと出だしに苦しんだものの、第3節で青森山田セカンドを2-1で撃破して勢いに乗ると、聖光学院、東北高校、遠野高校を撃破。5月13日に行われた第7節ベガルタ仙台ユースとのユースみちのくダービーも、仲嶋翔太のゴールを守りきって1-0と勝利し、7戦無敗の5連勝を飾った。

会場はあいにくの雨模様となったが、ダービーということもあって序盤は打ち合いになった。モンテユースは4分FWに鈴木朝日が左から中に切り込んで右足で狙うと、続く6分に右クロスから左サイドハーフの川俣大が頭で合わせる。ベガルタユースは13分にループ気味のロングシュートでゴールを狙うが、これはGK高山颯斗がバックジャンプしながらワンハンドで枠内ギリギリのボールをはじき出すビッグプレーで防いでいた。

ファーサイドへのクロスを片手で弾く高山颯人。雨の中でハイボールの処理も多かったが、パンチングとキャッチングを上手く使い分けていた。

序盤の攻防を終えると両チームとも少しペースが落ちて持ち味を出そうとする。それぞれのスタイルはモンテユースは4-4-2でコンパクトな守備でハイプレッシャーをかけて素早く前に展開する速攻型。ベガルタユースは4-3-3でディフェンスラインやGKを使いながら後方から組み立てるポゼッション型だ。

試合展開もボールを回そうとするベガルタユースと少しずつラインを上げて追い込んで奪いにいくモンテユースの構図に移っていく。ベガルタユースの狙いは中盤でできやすいギャップを使って縦にパスを通してからサイドに広く展開させる形で、特に起点となるアンカーに対してはプレッシャーがかけづらかったが、「相手のシャドーが低めにいて、誰が捕まえるかとか、アンカーからボールが出るタイミングは皆で話していた」(佐藤岳)とモンテディオの守備陣が声を出し合って守り、相手をうまく追い込んでいた。ベガルタユースのサイドアタックにも粘り強く対応し、ゴール前に入ったクロスも落ち着いてクリア。セカンドボールへの出足も早く、モンテディオユースが守備から主導権を握った。

20分には右サイドから中にカットインして半田がシュートを打つと、相手DFに当たったボールがループ気味にゴールマウスに向かったが、バーの上に当たってゴールはならず。その後35分を過ぎると、パスカットの数も増え、速攻からチャンスが続いたものの、ラストパスがわずかに合わずにチャンスは作りきれずに前半を終えた。

後半は開始早々48分に、鈴木が後方からのクサビをポストプレーでシンプルに落とすと、中盤から左に展開して左サイドハーフの川俣が縦に突破して折り返す。自陣からフィニッシュまで流れるような攻撃になったが、ボックス手間からフリーで打った鈴木のミドルシュートは惜しくも枠を捉えきれなかった。その後も鈴木がCKから頭で狙うなどモンテユースのペースが続く。

試合が動いたのは64分。中央でターンして前を向いた鈴木が前に運んで仕掛けると、左にもパスの選択肢があったが、「ゴールを取るためにシュートの意識を強く持った」という鈴木が、2人を振り切って右足でシュート。相手の足に当たってこぼれたボールを「朝日がシュートを打ってこぼれると思って狙っていた」という仲嶋が飛び出したGKよりもわずかに早く触って流し込み、モンテユースが先制した。

仲嶋翔太の64分の決勝ゴール。このまま倒れ込み、ゴールを感じると右手で拳を握った。「今シーズン点が取れてなかったので、今日は絶対に決めてやると狙っていた」

しかし69分に、モンテユースはボランチの選手がバックチャージの警告と異議が重なって退場してしまう。優勢だったものの、一人少なくなって一気に劣勢に立たされたモンテユースは、ラインを大きく下げて4-4-1でゴール前を固める。劣勢ながらも「自分が焦ると周りも焦るので、まずは自分が落ち着いてコーチングをした」(高山颯斗)とGKとDFを中心に選手全員が落ち着いてプレーして20分強の我慢の時間帯を耐える。サイドチェンジで揺さぶるベガルタユースに対して運動量を増やしてスライドして対応し、終盤89分には枠内に飛んだリフレクションのボールを半田陸が飛び込んでクリアするなど、瀬戸際の粘り強さも見せて、ベガルタユースの反撃を振り切ってタイムアップの瞬間を迎えた。

「内容よりも結果」(キャプテン佐藤岳)
「最後まで死ぬ気で、何があっても勝とう」(高山颯斗)
「絶対に勝たなければいけないと思って臨んだ」(仲嶋翔太)
「絶対に勝とうという気持ち。自分も燃えていた」(鈴木朝日)

この試合に向かうモンテユースの選手たちのみちのくダービーに賭ける思いは相当強く、それは試合前から試合終了までその気迫は途切れることはなかった。

センターバックで無失点に貢献した佐藤岳。ビルドアップも落ち着いていた。「去年ほど個は強くないですが、皆で団結して戦う意識は去年よりも強い」

プリンスリーグ中の1節とはひと味違う緊張感のある試合。今井監督は「緊張していると選手たちも集中する。こうやって外から影響を受けた時に自分がゲームでどう思っていたかとか、精神状態をどう保っていれば良いプレーができるかを学ぶことができる」とメンタルが鍛えられるメリットを話す。
負けられない相手をしのぎを削り合うことでこそ、選手のメンタルはタフに鍛えられる。なおかつ苦しみながらもダービーを制したことで選手たちも大きな自信になったようだ。

試合終了の笛が鳴った瞬間。選手たちの表情が試合の苦しさと歓喜を物語っている。

2017東北プリンスリーグは第7節を終えて、青森山田セカンドが6勝1敗勝点18で首位、モンテディオユースは5勝2分勝点17で2位と、勝点差1で首位を追う展開となっている。次節は5月20日10:30、山形県総合運動公園第2運動広場にて、現在3位の尚志高校と対戦する。

文・写真:嶋守生

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