浦レポ by 浦和フットボール通信

求めたい対応への対応と、長身FWを生かせない伝統的な課題【轡田哲朗レッズレビュー/J第11節 川崎戦】

(Report by 轡田哲朗)

サイドでプレーする選手ばかり離脱する苦しさはあるものの

浦和レッズは5月3日にリーグ戦の第11節で川崎フロンターレと対戦して1-3で敗れた。悪くない前半を過ごした中で、両ゴール前のところで強さを出せなかったことで内容に見合ったスコアに持っていくことができず、後半は先手を取られて苦しい展開になる中でパワーダウンした部分が否めなかった。ウイングでプレーできる選手が5人いなくて、サイドバックも2人が離脱中という点でいくと、最終的にはサイドから強みを発揮してゴール前に入っていきたい構想がある中では難しさは否めない。とはいえ、だからと言って空から勝ち点が降ってくるわけではないので、その中での解決策を見つけながら進めていけないとシーズン全体の運び方はどんどん苦しくなる。威勢のいいことを言うだけが全てではないものの、中長期的な視点で常に優勝争いをするクラブにするという目標があり、今シーズンもその例外ではないという方針は強化責任者が交代する中でも明らかにされているので、そこに基準を置いて見られるべきだろう。

浦和は4月20日のガンバ大阪戦をスタートに中3日ないし中4日の試合が続いている中で、その連戦という意味では4試合目になった。前述の通りにサイドバックが不足しているとはいえ、この消耗の激しいポジションで一度も試合中の選手交代もすることなく石原広教と渡邊凌磨がやっているのはなかなか苦しいところ。サミュエル・グスタフソンやマリウス・ホイブラーテン、伊藤敦樹、チアゴ・サンタナ、中島翔哉といった面々もまったく休みがない。もちろん、彼らを起用したから何があるか分からない一発勝負のトーナメントである24日のルヴァン杯ガイナーレ鳥取戦を良い形で突破できたというメリットも受け取っているが、この川崎戦と恐らく次の横浜F・マリノス戦はデメリットと向き合うタイミングになっているのかもしれない。

川崎はエリソンが前回の試合中に接触で痛めているということで、バフェティンビ・ゴミスを最前線に配置してきた。2019年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝でアル・ヒラル(サウジアラビア)の最前線に鎮座していた彼のイメージが強く残るだけに良い印象が残っていない嫌なプレーヤーなのだが、結果的には彼にかなりこのゲームの結果を持っていかれてしまった部分があった。

前半を良い形で進めた一方で、ゴール前のシビアさは不足した

前半の浦和は割と良い形でボールを進めることができた。サッカーは相対的なスポーツなので裏側には川崎の振る舞いがあって、そこのクオリティーの低さを浦和が上手く利用したという側面もあるかもしれない。川崎は4-3-3でスタートして、家長よりもマルシーニョがゴミスの横まで出張してきてのプレスになる場面が多く、サミュエル・グスタフソンのことは中盤3枚のうち状況次第で誰かが捕まえればいいというフワッとしたやり方で入っていた。試合後に川崎の鬼木監督が「自分たちの形を押し出しながら、できればそこを上手に消しながらいきたかった」とか、「自分たちの守備でいうと、少しぼかしながら行くのが主なのですが」と話していたように、カチッと合わせて決めるのではないやり方を模索したようだった。それは、川崎も基本的に相手に合わせるよりは自分たちのやりたい部分を前に出したいチームだという面もあるだろう。

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