両チームの選手たちのラスト4試合に掛ける気持ちが溢れるミックスゾーンだった【試合取材後記 今日のミックスゾーンから】
(Report by 河合貴子)
後半の2得点で難敵を攻略
首位の神戸との勝ち点は8ポイント差。優勝戦線に食らいついていくためには、ホーム埼玉スタジアムで絶対に負けられない浦和。方やJ1残留を確固たるものにするためには、勝ち点1ポイントでも掴み取りたいと敵地へと乗り込んできた柏。立場は違えども、勝ち点に拘る思いは同じであった。
風の影響を考慮して追い風となる右エンドを選択した浦和は、試合開始から攻守においてアグレッシブに仕掛けていった。だが、開始4分に興梠慎三選手の落としを受けた関根貴大選手が、プレスを掛けに来た高嶺選手と接触し右膝を押さえて倒れこんでしまった。立ち上がりプレーを続けたものの、再びピッチに座り込んでしまい高橋利樹選手と負傷交代を余儀なくされてしまった。
その直後の9分、自陣でボール失い鋭いショートカウンターから戸嶋選手がシュートを放つも西川周作選手がファインセーブでゴールを死守した。追い風をうまく利用した試合運びになると思いきや、気が付けば風はやんでいた。風の影響がなくなったピッチでは、お互いの狙いがぶつかり合う白熱した展開になっていった。
柏は、4-4の2ラインでブロックを退き、前線から激しくプレスを掛けて素早くボールサイドへとスライドする守備から、ボールを奪うと左サイドバックのジエゴ選手が高いポジションを取り、右サイドでは戸嶋選手が攻撃のリズムを作りだしていく。
浦和は、前線が流動的に動きながらしっかりとボールを保持するものの、なかなか崩しきれない展開になってしまった。2トップ気味にしたり、トップ下を小泉佳穂選手にしたりと変化をつけていった。前半の浦和のボールの支配率は63%だ。しかし、浦和の決定機といえるのは、40分に荻原拓也選手のクロスをニアで合わせた興梠選手のゴールわずかに逸れたヘディングシュートぐらいであった。
逆に、柏は9分の戸嶋選手のシュートシーンと24分の高嶺選手のミドルシュートだ。前半、放ったシュートはお互いに4本であったが、粘り強い守備から相手の攻撃の芽を摘み、素早く仕掛けて仕留めたい柏の思惑通りの前半になってしまった。
スコルジャ監督は、ハーフタイムにすぐに動いた。興梠選手に替えて安居海渡選手をトップ下に投入し、高橋選手の1トップに変更して挑んだ。
後半、立ち上がりから厚みのある攻撃をしかけて主導権を握った浦和は、酒井選手の縦パスを受けた大久保智明選手が、エリア内へ斜めに走りこんできた安居選手へと絶妙なタイミングで送り、安居選手のシュートは松本選手に止められてしまうも素早くこぼれ球に走りこんだ小泉選手のシュートが決まった。待望の先制点が生まれたのは、53分のことであった。
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