互いに長所の裏返しが出たゲーム 浦和が見逃さなかった相手の緩み【轡田哲朗レッズレビュー/J第30節FC東京戦】
(Report by 轡田哲朗)
全体を見ると負けパターンにハマりかけた
浦和レッズは25日のリーグ第30節、FC東京戦に2-1で勝利した。開始1分と経たないうちに先制点を奪われ、今季のリーグ戦では先制された試合の勝率は0%だったわけだから、これは大変なことになったという感もあったが、そこから2点を奪って勝利に結びつけたのは、それこそリカルド・ロドリゲス監督の言葉にもあった「これが今後の自信につながってくる」という要素を合わせても大きなゲームになったのではないか。
スタメンはほとんどの人が予想していただろう、小泉佳穂と江坂任を前線に並べる形の継続だった。一方のFC東京はディエゴ・オリヴェイラとアダイウトンをベンチスタートにしていたので、後半勝負のプランではないかというのも、メンバー発表の時点で想像がついた。結局、それによって考えられる最悪のパターンが0-0や0-1の状態で浦和がキャスパー・ユンカーを入れて縦に速くなり、相手も外国人アタッカー2人を入れてオープンなゲームが始まって事故を起こすこと。このゲームの得点推移と交代の流れは、このパターンに半分以上は足を踏み入れていたので、本当にちょっとしたところで相手に結果が行きかねなかった。
何事にもメリットしかないものは世の中にほぼ存在しないので、長所の裏側には何かがある。そして、このゲームはお互いにそこの部分が多少の悪さをした面があって、ゲームとしての面白さを生んだ。まず浦和で言うと、ユンカーをピッチに置かない「ゼロトップ型」と呼ばれるやり方の悪い面が、これまでの試合の中で最も出たと言えるかもしれない。
ストライカーを配置しない弊害が出たクロスへの飛び込み
失点場面は酒井宏樹が準備と初動の遅れを出したところで抜け出されたもので、それ自体は良くないプレーだった。ただ、年間のリーグ戦を戦っていれば、こうした何らかのエラーから相手に先制点を渡してしまうことはある。そこから浦和はリカさんの言葉を借りると「失点には大きなショックがあったが、選手たちはしっかりと立ち上がってプレーできた」という形で、特にビハインドを強く意識するというよりは通常通りの試合に入っていく形になった。むしろその1点は、FC東京が時間の経過とともに後ろに引っ張られるようなプレーを見せ、浦和が方向を限定したプレスを機能させてボールを回収し、一方的にボールを持って殴る状態を作ったことにつながったかもしれない。
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