浦レポ by 浦和フットボール通信

湘南を崩せずスコアレスドロー 酒井宏樹が厳しい試合の中でも感じた手応えとは【河合貴子 試合のポイント/J27節湘南戦】

(Report by 河合貴子)

負けなかったが、勝てなかった。「疲れはないとは言えない」とリカルド・ロドリゲス監督は、試合後に険しい表情を浮かべていた。リーグ戦、4連勝を目指しアウェイ湘南に乗り込んだ浦和であったが、両者譲らずにスコアレスドローの痛み分けになってしまった。

特に浦和は、東京オリンピック後のJリーグ再開となった8月9日アウェイ札幌戦から始まった変則的な9連戦まっただ中の6戦目だ。対する湘南は、連戦中とはいえ天皇杯・ラウンド16の大阪戦の開催が9月22日となったために3連戦目の試合であった。試合中に降り出した雨が、疲労が溜まっている浦和の選手たちに重くのしかかっているようにも感じた。

前節の広島戦のスタメンスタメンから明本考浩選手と江坂任選手、岩波拓也選手がベンチスタートとし、左サイドバックに宇賀神友弥、左サイドハーフに大久保智明選手、トップ下に小泉佳穂選手を起用して挑んだ。基本は4-2-3-1であったが、攻撃時には両サイドバックが高いポジションを取り、ダブルボランチの平野佑一選手がDFラインに下がり3枚回しの組み立てをした。

試合開始から、しっかりとポゼッションする構えを見せた浦和であったが、ファーストシュートは湘南であった。8分、浦和陣内でボールを奪うとショートカウンター気味に素早く仕掛けて、大橋選手がカットインから果敢にシュートを放ってきた。

だが、徐々に浦和が自分たちのリズムで試合を支配していった。10分には、小泉選手からの斜めの楔のパスを受けた大久保選手がカットインからミドルシュート。21分にも平野選手からの縦パスが小泉選手に入り、そこから今度は右サイドのバイタルエリアの関根貴大選手が仕掛けてマイナスのクロスを入れるもしっかりとゴール前を固めている湘南のDF陣にクリアーされてしまった。

大久保選手が「前半に自分が決定機を決めていれば試合がもっと楽に進められましたし、決めきれないことがまだ足りない部分だと思ったので、今日の0-0ということに責任を感じています」と自責の念に駆られていたのは、35分のシーンであった。

大久保選手が湘南の2ブロックの守備の間で平野選手からパスを受けると、タイミングを計りながらキャスパー・ユンカー選手へ。ユンカー選手からのスルーパスを小泉選手がおとりとなってスルーし、ファーサイドに走り込んだ大久保選手が左足で放ったシュートは惜しくも枠を捉えることが出来なかった。しかし、見事なオフ・ザ・ボールの動きから決定機を作り出したシーンであった。

湘南に決定機を与えなかった前半であったが、浦和が放ったシュートは4本、湘南は5本。湘南のシュートのほとんどはCKだ。浦和のCKは1本に対して、湘南は5本だ。

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