繰り返される蛮勇。必然のドロー【島崎英純】2022Jリーグ第7節/清水エスパルス戦レビュー

©Takehiko Noguchi
無双の江坂
今後の浮上のためには絶対に負けられないホーム戦。浦和レッズのリカルド・ロドリゲス監督は4-2-3-1を採用し、前節の北海道コンサドーレ札幌戦で大ケガを負ったDF犬飼智也に代えて3戦ぶりに岩波拓也をセンターバックのスタメンに抜擢した。その影響でアレクサンダー・ショルツが左CBへ回り、右サイドバックに馬渡和彰、左サイドバックに大畑歩夢と、その他のバックラインの陣容は札幌戦と同様にした。またダブルボランチは岩尾憲と、別メニュー調整が続いていた伊藤敦樹を先発に復帰させて重厚性を担保している。そして興味深い前線ユニットはトップ下に江坂任、右MFにダヴィド・モーベルグ、左MFに松尾佑介、そして1トップにはキャスパ・ユンカーが配された。
浦和の左右の“槍”はアイソレーションで強みを発揮する選手たちで、これは4-4-2を形成する清水エスパルスとのマッチアップで優勢に立ちたい意図がうかがえた。また今の浦和はサイドバックとサイドMFがレーンアクションを駆使して打開するプレースキームがあり、ノーマルなディフェンスブロックでセットする清水を混乱させる要素を兼ね備えていた。実際に右サイドでは馬渡がサイドラインを取ってモーベルグがインサイド、左サイドは大畑がサイドラインから突破を図って松尾がハーフレーンと、秩序的な動きの中で清水マーカーを外す挙動が数多く見られた。特に左サイドは相手サイドバックの原輝綺とサイドMFの片山瑛一が立ち位置を定められない場面が続出し、ここにトップ下の江坂やボランチの岩尾が関わることで幾つかチャンスシーンを創出している。一方で右サイドに関しては若干コンビネーション不足が目立ったかもしれない。モーベルグは周囲を観察して縦へ急ぐことなく巧みなアクションを施したが、その落ち着きのある所作が逆に1トップのユンカーやサイドラインの馬渡との呼吸を乱したかもしれない。それでもモーベルグのプレーには切れ味があり、右サイドで駆使する左足の迫力は十分に醸し出されていた。またモーベルグは守備でも一切手を抜かない選手で、ヨーロッパの第一線でレギュラーを張ってきた者らしいコレクティブ性を感じさせる。
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