2019年、年末のご挨拶と年末年始のお知らせ

本年もありがとうございました

 2019年の浦和レッズは激動のシーズンとなりました。

 オズワルド・オリヴェイラ監督体制で臨んだキャンプでは一次、二次を通して1試合しかトレーニングマッチを行わなかったことがクローズアップされましたが、私自身の取材経験の中でもこれほど実戦をこなさなかったキャンプ内容に直面したのは初めてでもあり、多くの選手たちが不安な心境を口にしていたことが印象に残っています。オリヴェイラ監督は徹底したフィジカル強化でシーズンを戦い抜く体力を付け、最終的にタイトルを獲得できるようなプランニングを行っていたのでしょうが、シーズン序盤から勝ち星に恵まれないことでチーム全体が疑心暗鬼に陥ったようにも見え、指揮官が予測したであろう成果を得られる前にクラブサイドが契約解除という選択をしました。

 オリヴェイラ監督の後を受けて指揮を執った大槻毅監督は2018シーズンにも堀孝史監督の契約解除を受けて暫定でチームを束ねた経験があり、今回は正式な監督の任に就いて立て直しを図りました。しかし、こちらもリーグ、YBCルヴァンカップ、天皇杯、そしてAFCチャンピオンズリーグという各タイトルを目指す過密日程に苛まれてスムーズにチーム強化を進められずに成績が伸び悩みました。ACLでは韓国、中国の強豪クラブを打ち破って2017シーズン以来となるクラブ史上3度目の決勝進出を果たしましたが、最後はサウジアラビアのチャンピオンチームであるアル・ヒラルに力を見せつけられる形で屈してアジア制覇の夢を絶たれました。またルヴァンカップではプライムステージ準々決勝で鹿島アントラーズに敗れ、天皇杯では4回戦でJFL所属のHonda FCに敗退するという屈辱も味わいました。そしてリーグでは2011シーズン以来となるJ1残留争いを強いられ、結局最終節で残留を確定させ、この厳しいシーズンを終えることとなりました。

 クラブは公式戦全日程終了後に新強化部体制の発足をアナウンスし、トップチームに特化する形で土田尚史スポーツダイレクター。西野努テクニカルダイレクターの2人が強化の任に就くこととなりました。また大槻監督は来季、2020シーズンも引き続き指揮を執ることとなり、現在は選手補強を含めたチーム強化策を進めている途上です。その一環として、クラブは新卒で青森山田高のMF武田英寿の加入内定、そしてJ2のアルビレックス新潟からFWレオナルドを完全移籍で獲得したことをすでに発表しています。

 ただし、現状を鑑みると、浦和のチーム再建策はスムーズに進んでいない印象を受けます。また、大槻監督が進めようとするチーム構築の狙いも来年1月から実施されるキャンプを取材してみないと実情が掴めません。年末に入ってJリーグ各クラブから様々な選手獲得情報がもたらされる中で、正直言って浦和のアクションは乏しく、このままではチーム全体のベースアップが望めないまま2020シーズンのスタートを迎える可能性もあります。

 個人的な印象として、2019シーズンの浦和は私がこの仕事に従事した2001シーズン以降で、最も厳しい試合内容と成績だったと感じています。クラブの体制、トップチームの戦力、そして何よりタイトルを争うライバルチームとの戦力差を目の当たりにしている今、現在の浦和が未曾有の危機に直面していることを自覚しなくては、前に進むことができないのではという焦燥感にも駆られています。

 来年、2020年も、浦研プラスは浦和レッズに関する批評、論評、考察、問題提起など、多岐に渡るファクターを基に情報を発信致します。2020年初頭に予定されているキャンプも、もちろん全日程をカバーする形でレポート致します。

 会員の皆様におかれましては、私、島崎、そして福田正博氏共々、今後もどうか末永く、『浦研プラス』をよろしくお願い致します。なお、年末年始に関しましては、年内は本稿をもって終了させていただき、2020年は1月4日(土)より更新を再開させていただきます。

 最後になりましたが、皆様のご健康とご活躍をお祈り申し上げ、御礼のご挨拶と致します。 

浦研プラス

島崎英純

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